文書から読み取る戦争の真実:2・26事件から日中戦争の開幕まで - 独裁と民主の狭間で 陸軍参謀・遠藤三郎とアメリカ人ジャーナリスト、エドガー・スノウ、ニム・ウェールス夫妻がみたもの
(著) 吉田曠二
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―民主主義と独裁の分水嶺となるものとは―
戦争という巨大な現象を理解するためには、広い視野をもって複眼的に歴史を眺める必要がある。本書は、そうした観点から日中戦争を俯瞰するために、国内外の資料を収集し、分析した研究の成果を記録したものである。
この巻では、満州事変の開幕から関東軍の熱河作戦までを紹介した『文書から読み取る戦争の真実:満洲事変から上海事変へ ― スノウと遠藤がみた満州』に続き、参謀本部の若きエリート・遠藤三郎とアメリカのジャーナリスト、エドガー・スノウが残した日記やルポルタージュ等の記録を活用しながら、日本が本格的に戦争に突入していく満州事変から上海事変までの、日中15年戦争の分水嶺となる重要な時代を見ていく。
[目次]
第六章 歴史の分水嶺:独裁と民主主義
歴史の分水嶺:独裁と民主主義 遠藤日誌にみる2・26事件
(1)2・26事件:その発生と展開
(2)遠藤:陸軍大学生に自粛を呼びかけ
(3)遠藤対磯辺浅一:決死の問答
(4)事件の後遺症――軍部の政治介入を容認
一口メモ
一口メモ
歴史の分水嶺:独裁と民主主義 スノウの「中国の赤い星」の風景
(1)孫文夫人からの推薦状
(2)スノウ:ルビコン河を渡る
(3)毛沢東の肉声――政治・外交、戦争論
外交問題について
日本帝国主義について
国内問題について
(4)毛沢東の肖像――やせたリンカーンのような男
一口メモ
一口メモ
一口メモ
(5)毛沢東――「民族解放・国防的民主共和国」の設立を提言
第七章 西安事変の発生と展開
西安事変の発生と展開 スノウとニムの情報戦争
(1)ニムのスクープ記事(第一号)
(2)武劇の発生と展開
(3)蒋介石の釈放をめぐって
(4)「和解戦術」の結末
第八章 紅軍の素顔
紅軍の素顔 ニムのルポルタージュ:「赤い中国の内幕」
(1)ニム:初めて紅軍をみる
一口メモ
(2)中国革命のプロモーター:蔡暢女史
(3)長征の体験:二人の女性戦士の回想
長征の始まり
遵義から草原へ
(4)朱徳と毛沢東の訪問
(5)毛沢東:統一戦線へメッセージ
付録資料:スノウ国際学会報告・旅行記・写真アルバム
(1)「長征」(The Long March : by Mao Tue tung) について
(2)「マイ・トリップ・トゥ・チャイナ」 西安から延安・保安の旅
(3)私の写真アルバム:「中国の赤い星」の風景
[出版社からのコメント]
戦争が常に政治の延長上にあるのだとすれば、歴史において戦争を俯瞰するということは政治の流れを俯瞰するということでもあります。民主主義においては、政治がいかに民意を吸い上げるかが重要となりますが、吸い上げる主体が何であったか、国民が民意をどの様に表出しようとしたのかによって、歴史は大きく変わってくる様に思います。日中戦争の分水嶺であり、日中の政治の分水嶺でもあるこの時代の出来事について、そこに現れる本質を読み取り、現代の私たちが直面する諸問題に活用するための一助として、多くの方に本書をお役立ていただければ嬉しく思います。
【著者プロフィール】
吉田 曠二(よしだ・ひろじ)
1937年 京都市伏見区生まれ
1960年 同志社大学法学部政治学科卒
1963年 同大学大学院修士課程卒
1964年 朝日新聞大阪本社入社 広告部に配属
1970年 アドマンとして、大阪千里万博で各国パビリオンの紹介
新聞広告読者調査、広告倫理・審査部門で活躍
主要著書
1979年 「近代日本の新聞広告と経営」朝日新聞社刊行(山本武利、津金沢総広、有山輝雄との共著)
1985年 「龍馬復活:自由民権家坂本直寛の生涯」朝日新聞社刊行
元一橋大学総長都留重人氏が1985 年度刊行の代表作三作の内の一冊に推薦
1991年 「我が生涯の新島襄」森中章光日記」不二出版 全国図書館協会推薦図書
2012年 「元陸軍中将遠藤三郎の肖像」すずさわ書店刊行
2017年 「 将軍遠藤三郎とアジア太平洋戦争」ゆまに書房刊行角川書店;
角川源義賞候補作品
全国図書館協会推薦図書
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