評論・岸田劉生と現代日本:重要文化財「麗子微笑」を描いた画家を通して
(著) 薗部雄作
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―目を逸らし、忘れ去ろうとする深い「内なるもの」を探る―
重要文化財『麗子微笑』と『道路と土手と塀(切通之写生)』を描き、大正を代表する画家として知られる岸田劉生。しかし一方で、現代日本の美術家たちの中での評価が必ずしも肯定的なものではないのはなぜだろうか。
本書は、自らも美術家として創作を続ける著者が、劉生が生涯にわたって追究し続けた「内なる美」と対峙し、現に創作しつつあるわたしたちの問題として、現代の日本の美術界に潜む宿痾にメスを入れようと試みた評論集である。
劉生の画業を通じて、劉生が求め私たちが顧みなくなってしまったものを鋭く見つめる本書は、単なる美術評論に止まらず日本の精神風土に関しても示唆に富む内容となっている。
[目次]
雑誌『芸術新潮』特集「岸田劉生・生誕百年、いま掘り起こす」に思う
岸田劉生を現代の問題として考える
岸田劉生に二百号の大作が描けるか、あるいは作品のサイズについて(1)
作品のサイズについて(2)
自然主義のジャングルのなかで(1)
自然主義のジャングルのなかで(2)
デューラーの影響について(1)
デューラーの影響について(2)
泥臭いということ(1)
泥臭いということ(2)
顔について
君の顔は人参に似ている。そして、その指は蟹の爪に似ている
日本、近代・現代・洋画史を簡単に振り返る(1)
日本、近代・現代・洋画史を簡単に振り返る(2)
日本、近代・現代・洋画史を簡単に振り返る(3)
日本、近代・現代・洋画史を簡単に振り返る(4)
内なる美(1)
内なる美(2)
「内から生まれる」ということ
「内なるもの」対「外なるもの」
画家のフィールド
星座
解題にかえて この歴史の暮れ方、ミネルヴァの梟は樹蔭から飛び立つ
石川 翠
あとがき
引用・図版・掲載図書
図版
[出版社からのコメント]
岸田劉生の作品を、美術の教科書で目にした記憶のある方も多いでしょう。もしそれが少女の人物がであったとき、一見してどの様な印象を抱いたでしょうか。風景画に比べて今も評価の定まらない劉生の人物画は、同時代の人々にどの様に感じられどの様に評価されたのか、それは私たちが彼の人物画をどう感じるのかということにも関連する問題です。
美術や創作だけではなく、ひとつの日本論としても本書を味わっていただければ嬉しく思います。
【著者プロフィール】
薗部 雄作(そのべ・ゆうさく)
1934年群馬県に生まれる。多摩美術大学を卒業。
国際青年美術家展、現代日本美術選抜展、ウィーン国際版画ビエンナーレ展、リュブリアーナ国際版画ビエンナーレ展、クラコフ国際版画ビエンナーレ展審査委員賞受賞、ドローイングアクティヴィティ展(ポーランド)、ワールドプリント3展(USA)、インターグラフィック'84(東ベルリン)、ART OF TODAY '84(ブタペスト)等々に出品。個展の開催は59回。美術論集『牢獄と宇宙』'89(六花社)『鎖国の方法論』'95(六花社)。『崩壊の兆し』'99(六花社)
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