日本文様史 : 「詞の造型」と異界の歴史的構造
(著) 上條耿之介
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―文様から読み解く日本の歴史・文化の原像―
「神」との契約に基づいた崇高な、人類の凝縮された「詞の造型」であり、祖先より子孫へと血の盟約として、同族団の「詞」を伝達する「文様」。本書は、その文様に魅せられ50年にわたって文様史研究に携ってきた著者が、王権の渕源と歴史的意味をその規定する表象の構造の分析から解釈し、文様成立の歴史的構造を通して文様本来の意義・原像を索めようとする試みである。文様研究の方法論に新たな光をあてる渾身の一書。
[目次]
序 文
序章「詞の造型」と「異界の意味」
第一節 「異界の意味」──その歴史的構造
第二節 焼畑の表象──「詞の造型・異界の意味」その構造的分析 ──宮崎県椎葉村嶽の枝尾神楽「宿借り」を中心として
第一章 倭文布に措定される異界の構図
第一節 異界神としての系譜
第二節 倭文組織の史的構造と分布の特異性
第三節 倭文布に措定される異界の構造
第二章 路子工と須弥山
第一節 路子工と須弥山考
第二節 飛鳥文化──その帰属の歴史構造
第三節 「推古紀」二十年代考
第四節 聖徳太子──異界観とその構造
第三章 仁王会屛風における聖樹下聖獣文
第一節 仁王会と仁王会屛風
第二節 仁王会屛風の図像的考察
第三節 樹下動物文と樹下人物文
第四章 隼人楯「鉤」文様
第一節 「平城宮址出土の隼人楯」報告書考
第二節 隼人故地論
第三節 隼人楯鉤文様論──耳王統譜覚書
第四節 隼人の畿内移住
第五節 隼人楯「鉤」文様考
第五章 郁子と息長氏
第一節 践祚大嘗祭を「アメノシタシロシメスオオムベノマツリ」という「ムベ=郁子」の歴史的意義
第二節 「郁子」と近江息長氏──近江息長氏の故地論として
第三節 息長氏系譜考──郁子貢納の政治史的背景論として
終 章
〔著者紹介〕
[出版社からのコメント]
私たちの日常生活のなかには古いものから新しいものまで、様々な「文様」が存在していますが、そのシンボルとして性格から意識的に意味を取り出そうとすることはほとんどありません。本書を通じて、文様の楽しさや奥深さに触れ、私たちが長きにわたって受け継いできた詞に興味を持つきっかけとしていただければ嬉しく思います。
【著者プロフィール】
上條 耿之介(かみじょう こうのすけ)
1930年東京に生まれる。信州大学文理学部卒業。長野県立高校教諭を経て、文様史研究に従事。日本風俗史学会会員。
論文・著書:「倭文部研究序説」(日本歴史273号)、「延喜織部式についての一考察―その成立史を中心として―」(信大史学創刊号)、「樹下動物文屛風―仁王会屛風をめぐる一試論―」(風俗112・113号)。『日本の文様―その成立と展開―』(雄山閣)、『日本文様事典』(雄山閣)
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