私は歯を削りたくない歯医者です〈第1巻〉『インプラント・ミラクルフィット・予防編』インプラントよりもミラクルフィットが増えてきた理由
(著) 林祐司
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歯科医師の仕事について自分で言うのもなんですが、結構大変です。頭脳労働というよりもどちらかというと肉体労働に近いかもしれません。学生時代は歯科医師って楽な仕事だと思っていました。しかし実際に自分が歯科医師になってこの仕事の大変さと難しさに直面していくことになるのです。三〇年以上経った今でもこの思いは変わりません。
手、指先、腰、足、目、神経、筋肉、脳=思考回路、そして心=良心。歯科医師はこの内の一つでも機能しなくなれば、廃業です。或いは治療の質が低下していきます。考えてみたら恐ろしくリスクの高い職業です。実際に視力の低下で転職された歯科医師も知っています。でもこんなことは多かれ少なかれ他の職業でもあることなので、ここでは棚に上げておきましょう。
改めて歯科医師の仕事についてですが、私の知り合いのYさんは、「パパッと歯を削って、詰めるだけで儲かるから楽な仕事だろう」と言います。
彼はこれまで、歯の手入れに注意して、大きな虫歯になったこともなく、経験した治療といえば、確かに、パパッと歯を削って、詰めるだけだったので、そう思うのは当然です。
虫歯が小さいので、麻酔をする必要もなく悪い部分を削り取って、詰めて終わりです。確かにあっという間です。
すべての患者さんが、そのようだったら、歯科医師はストレスのない楽な治療で、毎日がとても楽しいものになるのかもしれません。或いは逆に、簡単すぎて退屈してしまうかもしれません。彼にとってはすべての歯科医師が名医になることでしょう。(まえがきより)
林 祐司(はやし・ゆうじ)
1959年 父親の転勤に伴い東京にて出生
1977年 神戸高校卒業
1983年 大阪歯科大学卒業
同年 京都インプラント研究所勤務
1988年 林歯科医院開業(神戸市兵庫区)
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