一人っ子の心理と育児・保育: 未来の子どもたちへの教育指針

(著) 白佐俊憲

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作品詳細

「少子化傾向が更に進んで、一人っ子が当たり前の世の中になる時、一人っ子論は不要になり、「人それぞれ」という真の個性尊重の社会が実現するであろう。」(本書「あとがき」より)本書は、日本では1980年代から問題視されている子どもの減少化(少子化)現象を基本に、その典型的な「一人っ子」問題を主に採り上げた一冊。「一人っ子の心理とその形成」「一人っ子・少子社会の諸問題」などの7章に加え、巻末に「付章 中国での一人っ子をめぐる諸問題」付き——これからの時代の教育に欠かせない実践的教育学書!

【著者からのメッセージ】
 この書籍に着目していただき、ありがとうございます。
 あなたは、一人っ子の親の方ですか。一人っ子ご自身ですか。職場で一人っ子などの保育・教育等に携わっている保育者や教師や指導員などの方ですか。一人っ子の方と親しいお友達やお付き合いをしている方ですか。結婚し、出産計画を考慮中の方ですか。その他、様々な方々に、この欄を開いていただいたことに御礼を申し上げます。
 いずにせよ、他にきょうだいのいない「一人っ子」に特に注目・意識し、一人っ子の心理的特徴や育ち方・育て方・扱い方・接し方、育ち方の過程、将来のことなどに特別な関心を持たれている点で、共通な方々だと思います。
 2000年前の聖書にも、きょうだい関係が何度も登場していますが、一人っ子の場合も教育環境が整備されるにつれて、どちらかと言えば問題児視される形で非常に早い段階から取り上げられてきました。一人っ子の人格形成や行動型などについて、長い間、実証的研究が重ねられてきました。
 本書は、一人っ子の諸問題をとり上げた解説・指導書です。しかし、広く皆さんの関心・興味、得たい知識に十分に応え得るものには必ずしもなっていません。どんな書物にも言えますが、限定と限界があります。
 内容の水準から言いますと、本書は、学術的文献概観書でも一般的育児書でもなく、保育実務教師(幼稚園を例に、保育所・こども園などの保育者等)向けの指導参考書と位置づけて活用していただくのが最も適切と思われます。過去の実証的諸研究の成果を集約して、実務指導に役立てるべくガイドブックとして整理した点に本書の特色があります。
 加えて、親の方ご自身が読んで参考にしていただく章も設け、広く有効活用できるものに編集しています。
 本書は、多くの国でどんどん進行している子どもの減少化(少子化)現象を問題意識の基本にして、その究極的で典型的な「一人っ子」の問題を主に採り上げました。そして、未来を託するこの子たち1人1人の健全な成長と幸福を願って、教育的・心理学的立場から一人っ子の接し方・導き方を解説しました。
少子時代の多くの子どもは、「一人っ子」と同様に育てられます。例えば、最初の子は、下が生まれるまでは一人っ子です。年が離れていれば、二人っ子も、それぞれ一人っ子のように育ちます。この意味で、この本は、きょうだいのいる子どもの教育にも役立ちうると信じています。
 ほとんどの子どもが幼稚園・こども園・保育所などでの生活を経験する時代、「子宝」とも言うべき少子時代の子どもの実践教育にあたる先生方にとって、指導上の困難を乗り越えるための具体性・方向性を示す参考書として役立てていただけるならば、これにまさる喜びはありません。他の方々にも、これらの記述の中から、求めている答えを汲み取っていただければ誠に幸いです。
 なお、子どもの育ち方と育て方をやさしく解説し、親の方を主対象とした『二人っ子ならどう育つか』も電子書籍で同時に出版いたしました。一人っ子や3人以上の場合についても触れたコンパクトな育児書です。併せて、少しでも多くの方々のお役に立ち得るよう願っています。

【著者プロフィール】
白佐 俊憲(しらさ・としのり)
1937年10月、北海道生まれ、北海道雨竜郡北竜町出身。
1960年3月、北海道大学教育学部教育学科(特殊教育専攻)卒業。北海道中央児童相談所判定員等を経て、1967年4月から大学教師。1998年9月、本書の初版本2冊出版当時、北海道女子大学及び北海道女子大学短期大学部の副学長・教授。1996年9月から中華人民共和国・哈爾濱大学客員教授。2001年6月から同国・哈爾濱師範大学芸術学院客員教授。
著書・論文は教育学・心理学・研究法等に関するもの多数。本書の関連著書に、『二人っ子ならどう育つか』(富士書院、電子書籍出版)、『きょうだい関係とその関連領域の文献集成、全4巻』(川島書店)、『児童心理学の進歩2006年版、「きょうだい研究の動向と課題」を執筆』(金子書房)などがある。
2019年2月現在、無職、札幌市厚別区在住。

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