シルエットの裏側: 26篇の祈りの詩

(著) 北岡武司

Amazon

作品詳細

詩とは縁遠い生活だった。書くことはもちろん、読みもしなかった。理由は簡単だ。大方の詩は私には分からない。詩人は自分に見えている現実を言葉で表現し、他人に伝達する。読み手は、詩人の見ているものに詩人の言葉を通して参入する。誰かが心動かされたものに心動かされて、何かをその人と共有できる。気分であったり現実の捉え方であったり。それが見えてこないかぎり、感動も気分の共有もない。分かるという行為が成立しない。価値に触れることもない。読むことは難しい。想像力に乏しく、ものわかりの悪い私が詩を避けてきた理由はこれだ。そんな私が詩集をだすことになった。ベつにソクラテスの顰(ひそ)みにならったわけではない。三年ほどまえ、「詩脈」代表の岡隆夫と偶々バスで一緒になって、一篇の詩を見せられたのがきっかけだ。それから「詩脈」の例会に出席しだした。が、詩集などという大それた望みはなかった。ただ食卓から落ちるパン屑を拾っていた。「詩脈」には秋山基夫もいて、同人の作品に痛烈な批評を投げかける。そのうち瀬崎祐、みごなごみも同人にくわわり、否応なしに刺激された。おかげでパン屑がたまり、処女詩集出版の運びとなった。「詩脈」同人諸氏に心から感謝する。表紙と挿絵はマドレーヌこと、「綺人倶楽部」の高橋京子に描いていただいた。ありがたく思う。

【著者プロフィール】
北岡武司(きたおか・たけし)
 
一九四八年、兵庫県生まれ

著書 『真理への思慕』(共著・理想社)、『カント哲学の現在』(共著・世界思想社)、『カントと形而上学』(世界思想社)
訳書 フィヒテ著『啓示とは何か』(法政大学出版局)、ハイムゼート著『近代の形而上学』(法政大学出版局)、カント著『たんなる理性の限界内の宗教』(岩波書店・岩波『カント全集』一〇)
詩誌「詩脈」(岡山)同人、岡山県詩人協会会員、中四国詩人協会会員、岡山県エッセイスト・クラブ会員

新刊情報

       

22世紀アート
オフィシャルコーポレートサイト

百折不撓