アンデスの神殿と黄金の夢:ペルー「クントゥル・ワシ」発掘調査と村人たち
(著) 大貫良夫
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―テロ、インフレ、そして黄金の冠はみつかった―
1989年、東京大学のアンデス調査団はペルー北部にある3000年ほど前の遺跡クントゥル・ワシから、「十四人面金冠」や「蛇目角目の胸飾り」をはじめとする豪華な金細工を多数発掘した。しかしそれは、遺跡の麓の村やその近くの町の住民、政治をも巻き込んだ、学術研究と文化財保護の葛藤と試行錯誤の日々の始まりだった。政情不安が続き、出土品の保管や博物館建設を巡って様々な思惑が錯綜する中で、10年に及ぶ発掘調査は、アンデス文明の謎の一端を明らかにしながら、やがて地元住民にも大きな変化をもたらしていく――。
学術調査やその研究成果の意義、文化財保護のあり方などを、住民との交流と発掘調査の経緯の中で綴った貴重な調査研究の記録。
[目次]
まえがき
第一章 セロ・ブランコへの道
第二章 クントゥル・ワシ発掘の開始――一九八八年
第三章 黄金発見
第四章 クントゥル・ワシ脱出
第五章 博物館の建設
第六章 村人が講師になった
第七章 新たな黄金墓の発見
第八章 みえてきた最古の神殿
第九章 よみがえる神殿
あとがき
[出版社からのコメント]
祖先からの文化を受け継ぐということは、自分が何ものであるのかということにも帰結する重要な問題といえますが、世界の歴史の中にはそうした文化が外部の力によって駆逐され断絶してしまった不幸な例も多くあります。本書はアンデスの遺跡発掘に関する作品ではありますが、文明や文化、人の歴史という歴史学や考古学が見すえる根源的なテーマにもぜひ目を向けて楽しんでいただければ嬉しく思います。
【著者略歴】
大貫 良夫(おおぬき・よしお)
1937年(昭和12年)、東京に生まれる。
60年、東京大学教養学部文化人類学科卒業。
同大学大学院総合文化研究科教授を経て、
現在、野外民族博物館リトルワールド館長。
東京大学名誉教授。
先史・文化人類学を専攻。
著書『アンデス 夢の風景』(中央公論新社)『人類の起原と古代オリエント』〈世界の歴史〉1(共著、中央公論新社)、『黄金郷伝説』(講談社現代新書)、『文明の誕生』〈ビジュアル版世界の歴史〉1(共著、講談社)、『モンゴロイドの地球』(編著、東京大学出版会)等
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