隔ての島とのはざまで:ハンセン病専門医の心の便り

(著) 尾崎元昭

Amazon

作品詳細

[商品について]
―療養所と社会の「はざま」から見たハンセン病―
皮膚科医として長年ハンセン病の診療にあたってきた著者は、自身がたずさわる岡山県の国立療養所、長島愛生園が発行する小雑誌「愛生」に随筆を投稿してきた。それらをまとめた随筆集は人気を博したが、本書は2008年に愛生園を退職した後、療養所の現状や時事問題、退職後の生活のことなど、引き続きハンセン病に思いを寄せながら綴った文章をまとめた一書である。ーー国際医療協力研究のために訪れたミャンマーでの思い出から、時代とともに人々のハンセン病への関心が薄れていくことに対するもどかしさに至るまで、ハンセン病とともに生きる著者の生き様が刻まれた随筆集。

[目次]
はじめに
二〇〇八年
新たな日々
言葉の力
近代をかえりみると
老いを知る、傷を知る
二つの百周年
二〇〇九年
遥かなるマチュピチュ
病気は飯のタネ
早春賦
閉ざされた都ネピドー
あやさちゅらさ
山路を越えて―ハンセン病学会報告
秋へのうつろい
「チェンジ」の年
二〇一〇年
病気の文化史
カンボジアの「らい王伝説」
戦国武将大谷吉継
島めぐり
歌の翼に
創立八十周年―かくも長き存続
二〇一一年
燃えつきる
歴史をつくる無名の人びと
祈りと香り
震災時の東北新生園
やつを仕留めたぞ(ウィー・ガット・ヒム)
実りのとき
「キリスト教」のイメージ
今ごろ夏の花?
災厄の年
二〇一二年
年頭の思い
「はざま」に生きる
ハンセン病専門外来の意義
春三月の風
友田政和先生を悼む
驚異の薬サリドマイド
北海道の広い空
二〇一三年
齢を重ねて
ハンセン病への無関心
老化と感情の起伏―韓国事情
映画の涙
ゆとりある日々だったはずが
トルコ・沖縄―七月に考えさせられたこと
ハンセン病学会の再スタート
思いこみを正す
初冬の便り
心残り
二〇一四年
第一回日韓ハンセン病シンポジウム
韓国との縁―ハンセン病を介して
ゴッホの絵「収穫」
『人間をみつめて』(神谷美恵子)再刊
松丘保養園を訪ねて
思わぬ遭遇
秋のハンセン病学会
二〇一五年
この一言を告げるために
著者プロフィール

[担当からのコメント]
新規患者数の減少が著しく、それゆえに過去の病気と思われることも多いハンセン病ですが、今も療養所で生活を送っている人がいること、そして何より、かつて心身ともに激しい苦痛に見舞われた人々がいたことを忘れてはならないと、本書を通じて改めて強く思います。ハンセン病への理解を深めるための一歩を、本書とともに歩み出していただければ幸いです。

[著者略歴]
尾崎 元昭(おざき もとあき)

1943年、熊本市で生まれる。
1967年、熊本大学医学部卒業。京都大学医学部でインターン終了後、皮膚科学教室および皮膚病特別研究施設に属して皮膚科学、ハンセン病医学を専攻。国立療養所長島愛生園皮膚科医長、京都大学医学部皮膚科講師、兵庫県立尼崎病院皮膚科部長を経て長島愛生園皮膚科医長に再任、2008年退職。医学博士。皮膚科専門医。

著書『総説現代ハンセン病医学』(監修、共著)、『ハンセン病アトラス』(編集、共著)、『見逃してはならない感染症』(共著)、『隔ての海の岸辺で 長島愛生園便り』(榕樹書林、2009年)など。

新刊情報

       

22世紀アート
オフィシャルコーポレートサイト

百折不撓