水俣病をたどる──発見から原因断定までの15年
(著) 二塚信
Amazon作品詳細
[商品について]
ーいま、水俣病をあぶりだすー
昭和29(1954)年8月、熊本県水俣市で猫のてんかん死が相次いで報告されるという不穏な出来事が起こった。しかし、市民を不安に陥れたこの一連の事件は、のちに水俣病として認知されることとなる公害の予兆に過ぎなかったのである。ーー本書は「公害の原点」とも呼ばれる水俣病に対して、当時の行政や企業がどのような対応を行い、そして市民はいかにしてこれに立ち向かったかということを克明に綴ったドキュメントである。公衆衛生学を専門とし、水俣病の研究にもその初期から携わる著者が当時の新聞報道を中心に、水俣病発見から政府による原因断定までの15年間をたどる。
[目次]
はじめに
水俣病前史
水俣病の予兆
水俣病公式確認
原因物質の究明と対策の模索
法的規制ならず
原因物質に有機水銀浮上
昭和三四年秋 状況緊迫
熊本大学研究班に解散命令
事態の鎮静化 強まる有機水銀説攻撃
高度経済成長の陰に水俣病
胎児性水俣病の確認
熊本大学、ついに工場スラッジよりメチル水銀化合物検出
新潟水俣病の発生
水俣病対策市民会議の結成
工場の細川実験表面化
政府見解、水俣病の原因は工場のメチル水銀と断定
おわりに
著者プロフィール
[担当からのコメント]
本書を読んでいると、日に日に被害が大きくなっていく水俣病発見当時の様子がじわじわと胸に迫ってきて、思わずコロナウイルスが流行しはじめた頃のことを思い出してしまいます。未知の公害やウイルスに遭遇した時、人や社会はいかに対応すべきか、私たちは依然として考え続ける必要があるようです。「水俣病」と聞いて、遠い過去の出来事だと感じた方にこそ読んでいただきたい1冊です。
[著者プロフィール]
二塚 信(ふたつか まこと)
1939年 熊本市で出生
1964年 熊本大学医学部卒業
1969年 熊本大学大学院修了 水俣病の研究に従事
1969年 熊本大学助手(公衆衛生学)
1987年 熊本大学教授(公衆衛生学)
2005年 九州看護福祉大学学長
2014年 熊本機能病院顧問
2015年 NPO法人熊本高齢社会活性化研究センター所長
新刊情報