知られざる思想家・新井奥邃とキリスト教:明治日本の奇才たちに宿るスウェーデンボルグ神学とは
(著) 瀬上正仁
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ー「キリスト教らしからぬキリスト教」を説いた日本人ー
幕末から明治、大正にかけて活動した思想家、新井奥邃(おうすい)。20代の頃アメリカに渡った奥邃は、そこでスウェーデンを代表する科学者であり思想家、エマヌエル・スウェーデンボルグの神学に出会う。彼はその後、従来のキリスト教の枠にはまらない普遍的キリスト教について思索を深め、現代にも通じる徹底した男女平等主義と非戦論を主張した。
本書では、そんな新井奥邃の生涯や思想を探るとともに、彼と親交のあった日本初代の文部大臣、森有礼や足尾銅山鉱毒事件の被害民救済に奮闘した田中正造らの宗教思想にも迫る。彼ら明治の思想人の中に眠るスウェーデンボルグ神学とは何なのか。そして日本人の宗教意識にこの神学はどう関与しているのか。
これまで日本のキリスト教史が見落としていた新たな境地に挑んだ一書。
[目次]
はじめに
第一章 新井奥邃の生涯
第二章 新井奥邃の思想とスウェーデンボルグ神学
第三章 新井奥邃と一九世紀アメリカの宗教界
第四章 新井奥邃のスウェーデンボルグ観
第五章 日本初代の文部大臣、森有礼
第六章 森有礼の宗教思想と新井奥邃
第七章 明治期のキリスト教と森有礼
第八章 田中正造と足尾銅山鉱毒事件
第九章 田中正造の宗教思想と新井奥邃
第十章 明治以降のスウェーデンボルグ受容史(電子書籍版初出)
第十一章 日本人の宗教意識とスウェーデンボルグ神学
おわりに
電子書籍版 あとがき
[担当からのコメント]
世界史を学んだことがあっても、「スウェーデンボルグ神学」という言葉には馴染みがない、という方も多いかもしれません。しかし本書を読むと、日本初の文部大臣である森有礼がそれを受け継いでいることもあり、「個の精神」を鍛え上げる教育観など、その思想が明治期、そしてそれ以降の日本に大きな影響を及ぼしていることがわかります。本書で大きく取り上げられている新井奥邃やスウェーデンボルグ神学に興味のある方はもちろん、日本の思想史に関心のある方にもぜひ読んでいただきたい1冊です。
[著者紹介]
瀬上 正仁(せのうえ・まさひと)
昭和29年に宮城県塩釜市で生まれ、仙台市で育つ。
昭和55年に山形大学医学部を卒業後は、仙台市内で整形外科の診療に従事、専門の脊椎外科手術例多数。
平成25年に仙台市内に「瀬上整形外科医院」を開業、現在に至る。
日本整形外科学会の脊椎外科認定医。
高校時代から神道家の勝又正三師に師事し、師亡き後は師の「魚と水の会」を継承。医業の傍ら、神道を主体とした東洋思想とスウェーデンボルグ神学との関連について研究を重ねている。
日本スウェーデンボルグ協会(JSA)創設当時の運営委員。
〈著書〉
『知られざるいのちの思想家 新井奥邃を読みとく』(分担執筆、春風社、2000年)
『明治のスウェーデンボルグ─奥邃・有礼・正造をつなぐもの』(春風社、2001年)
『魚と水─ある天才宗教家 霊的体験の記録』(編著、著者は勝又正三師、春風社、2001年)
『仏教霊界通信─賢治とスウェーデンボルグの夢』(春風社、2003年、初版)
『スウェーデンボルグを読み解く』(分担執筆、春風社、2007年)
『宮沢賢治とスウェーデンボルグ─日本仏教の未来を見つめて』(22世紀アート、2018年、電子書籍)
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