東京一極集中は何をもたらしてきたのか―集権的功利主義の論理と今後の地域分散型社会の可能性を考える―
(著) 藤本建夫
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―なぜ、日本人は東京へ目が向くのか―
東京圏へなぜ人口や経済が集中するのか。膨大な直接的、潜在的問題をかかえているにもかかわらず、地震ひとつとってみても安心できない。また物価高や交通渋滞、通勤地獄など、人々の住環境にも多大な負荷がかかっている。これまで多くの解決策が提案されてきたが、根本的な解決にはまだ至っていない。これらの問題を解消するには、従来のアプローチにとらわれず、様々な視点から検討していくことが求められている。ーー人々が首都・東京へ集中する要因を、教育機関の在り方や日本型の出世コースのメンタリティー、また生活文化など、あらゆる角度から検証し、解決への糸口を見出すうえで日本人必読の一書。
[目次]
はしがき
序章 東京プロブレムとは何なのか
1 東京一極集中
2 陳情と天下りの政治
3 帝都東京の誕生
4 帝都に向かうメンタリティー
第1章「ああ上野駅」
1 集団就職
2 メディアが生み出す東京イズム
第2章「トーダイ」を目指すメンタリティー
1 日本の高学歴社会
2 隆盛する学習塾
第3章 日本型出世コースの誕生
1 功利主義・立身出世・中央志向のメンタリティー
2 維新政府の功利主義的欧化政策
3 帝大を目指せ
第4章 東京イズムに背を向けて
1 劇画とは何だったのか
2 ウェーバーで読み解く新新宗教運動
終章 新たな分散的文化・経済圏の創造は可能だろうか
1 日本人と功利主義のメンタリティー
2 東京一極集中と地域開発
3 地方の活性化と大学の社会的使命
《著者紹介》
[担当からのコメント]
地震や積雪など、直接的な被害はさほど大きくなくとも、秒分刻みの首都東京の交通機関はたちまち大きな混乱に陥ってしまうことは多くの人が認知しているのではないでしょうか。今こそ本書を通して、一人でも多くの方がこの東京一極集中の現状と真剣に向き合っていただければ嬉しく思います。
[著者紹介]
藤本 建夫(ふじもと・たてお)
甲南大学名誉教授、経済学博士
1946年 高知県に生まれる
1968年 岡山大学法文学部を卒業
1973年 京都大学大学院経済学研究科博士課程単位取得
主要業績
『実業家 平生釟三郎の社会奉仕の理念―画一主義教育の弊害と保護干渉からの解放―」甲南大学出版会、2024年
『地方都市再生の条件は何だろう─阪神・淡路大震災からの経済復興について考える』22世紀アート、2023年
『経済学の地下水脈』編著、晃洋書房、2012年
『何が地方再生を阻むのか─ボートピア'81、阪神・淡路大震災、経済復興政策─」晃洋書房、2010年
『ドイツ自由主義経済学の生誕─レプケと第三の道─』ミネルヴァ書房、2008年
『脳卒中リハビリ奮戦記』藤本芳子と共著、ミネルヴァ書房、2003年
『阪神大震災と経済再建』編著、勁草書房、1999年
『復興の政治経済学』編著、晃洋書房、1997年
『1995.1.17.を証言する』森田三郎と共編、甲南大学阪神大震災調査委員会、1996年
『甲南大学の阪神大震災』森田三郎と共編著、神戸新聞総合出版センター、1996年
『東京一極集中のメンタリティー』ミネルヴァ書房、1992年
『ドイツ帝国財政の社会史』時潮社、1984年
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