中世の神社と祭り 増補版

(著) 水谷類

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作品詳細

[商品について]
―神社を知る鍵は「祭り」にあり―
かつて、神社や寺院などは権力機構の一部であり、支配イデオロギーのための道具だとみなされていたことがあった。しかし、実際の神社・寺院は豊かな多面性を持っており、その本性や歴史的な実態は祭りの場面にこそ現れると著者は主張する。ーー本書では、古代において律令国家の東国経営の要でもあった常陸国鹿島社や、愛知県豊田市の猿投山の麓に鎮座する猿投神社などを取り上げながら、一般的に史料が少なく検証の難しいとされる祭りや年中行事の持つ歴史的意義や、そこに現れる精神性に鋭く迫る。学生時代から膨大な文献に対峙し、また時にはフィールド調査を通して神社と祭りの実態に迫ってきた著者の研究者としての長年の研究成果が詰め込まれた渾身の論文集。

[目次]
『中世の神社と祭り・増補版』電子ブック版発刊に寄せて
序にかえて
鹿島社大使役と常陸大掾氏
中世神社における社領支配の特質 ――常陸国鹿島社の場合――
国司神拝の歴史的意義
惣社の成立
猿投神社の田遊史料
中世の村落と宗教 ――三河国猿投神社の年中行事――
「宗教センター」と「宗教サロン」 ――中世尾張・三河宗教文化圏のダイナミズム――
今宮神社の祭礼と鹿沼の人びと
地方神職と卜部神道吉田家
[増補論文]生まれ死ぬるけがらひ
論考 「オビシャ」って、何だろう ―四百年続く村の祭り―
あとがき
著者紹介

[担当からのコメント]
皆さんの中には、お正月の初詣の時くらいしか神社に行かないという人も多いかもしれませんが、数百年、あるいは数千年の歴史と文化が今なお私たちの身近な場所に受け継がれているというのは驚くべきことです。そんな神社を祭りという視点から解き明かす本書、ぜひご一読ください。

[著者略歴]
水谷 類(みずたに たぐい)
[おもな経歴と研究の方向性]
1952年、名古屋市に生まれる。
明治大学文学部史学地理学科日本史学卒業、同大学院博士前期・後期課程修了。
2009年、同大学で博士学位取得。博士(史学・論文博士)。博士学位請求論文「廟墓ラントウと墓前祭祀の研究―中近世移行期の墓制と先祖祭祀―」。
故萩原龍夫博士に師事し、歴史学・民俗学の薫陶にあずかる。日本宗教史、神祇信仰史、一宮・惣社研究、民俗芸能史、祭りと儀礼史、墓制と先祖祭祀信仰の研究を専門としてきた。10数年間の研究ブランクを経て復帰し、現在は、祭りと神話・縁起のダイナミズム、ムラ・イエ社会の生成と村落寺社の成立、日本的カミ信仰の原型とその変容、日本社会における伝承システムの研究など、史料と伝承の両輪にもとづいた歴史民俗学的方法論の確立に向け、新たな道を模索している。
[主な職歴]
明治大学兼任講師・日本女子大学非常勤講師・明治大学博物館調査研究員。國學院大學文学部非常勤講師
[現職]
國學院大學研究開発推進機構共同研究員
[主な業績]
『廟墓ラントウと現世浄土の世界―中近世移行期の墓制と先祖祭祀―』雄山閣 2009
『墓前祭祀と聖所のトポロジー―モガリから祀り墓へ―』雄山閣 2009
『天下祭り読本』雄山閣 共著 2007
『中世一宮制の歴史的展開』岩田書院 共著 2004
『石の比較文化史』国書刊行会 共著 2004
『江戸深川散歩』新潮社「とんぼの本」シリーズ 共著 1990
『風土記の世界』名著出版 共著 1987
他、論文多数。

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