法王さま、親鸞の質問です:なぜ、わたしはクリスチャンにならなかったか
(著) 入井善樹
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―対比すれば仏教の現在地が見えてくる―
仏教は消極的救済論であり、あきらめと無関心による救済では神に近づくことはできないーー1994年に出版された著作の中でヨハネ・パウロ二世が語った仏教への批判は、教団のおかれている現状という点において少なからず本質を衝いていた。しかしその一方でキリスト教にもその論理の根底には矛盾があり、仏教の観点からは多くの疑念が沸き起こる。本書では、互いに優れた考えを持ちながらも相互理解に至らないキリスト教と仏教について、若き日はキリスト教に惹かれ現在は真宗の僧侶として活動する著者が、真宗に蔓延する教学の歪みをただし、真理に沿った生き方としての仏教を問うべく親鸞聖人が答える意気込みで法王の批判に対峙していく。平和とは、宗教とは、生きるとは何かについて考えるうえで示唆に富む一書。
[目次]
はじめに
第一章 キリスト教の仏教批判へ――宗教の堕落と浄化
一 ローマ法王の仏教批判――涅槃(ねはん)と無への批判
二 神への疑問――私はクリスチャンになれなかった
三 教皇への反論――この世は完成か未完成か
第二章 人類を救う宗教とは――戦争回避をめざす
一 なぜ宗教が生まれたか――タマシイの安定を求めて
二 宗教の存在価値――《ひろまり》と《ふかまり》
第三章 親鸞の仏教――信心がブッダとなって貢献する
一 親鸞からの提言――最高を目指してこその人生
二 偶像崇拝とは――形なきゆえによく形をあらわす
あとがき
「募集」真宗探求の呼びかけ
〈著者〉
[担当からのコメント]
冠婚葬祭を除いて日本人の多くはあまり宗教と関わりを持ちませんが、宗教の本質が人の生き方を問い直すことにあるとすれば、現代こそ宗教の智慧を活かすべき時代はないのではないかと思います。本書は親鸞聖人の教えを学ぶ入門書としてもお薦めの内容となっています。ぜひご一読ください。
[著者略歴]
入井善樹(いりい ぜんじゅ)
1943年 香川県に生まれる。
1965年 龍谷大学真宗学卒業、伝道院終了。
1967年 毎日の門信徒参りで、聖典の繰り読みをはじめて、いま親鸞の著述を300回から400回拝読するに到っている。
1972年 ノドをいため手術をして、作陶で生計を立てようと志す。このころ、大谷派の藤本正樹先生に出会い、5年ほど毎月の講義を受ける。
1973年 自業苦焼の業苦落窯を開く。県展に10年ほど入選。
1975年 すでに関心のあった平和運動に疑問がおこり、貧富の格差が紛争を生み起こしていると感じ、世界連邦協会に共鳴して自分なりに10年ほど努力したが、運動にまではならなかった。このころ、興正派の田中照海先生から8年ほど、毎月の講義を受けた。田中先生の死後、岡亮二先生が年二回ほどの講義を引き継ぎ5年ほど続けてくださった。
1976年 インドに参拝して、仏教が滅んでしまっていたことに衝撃を受けた。以後、東南アジアから中国の仏跡を巡ってわかったことは、現世利益を説く仏教は盛んであった。そして、上座仏教は生き残っているが、大乗仏教圏はすべてイスラム教に浸食されていた。
1977年 日本で最初のテレホン法話を開設。 電話(087)862-3101。
1980年 陶芸で日本新工芸会に入選。以後3回入選。
1982年 陶光会全国展で東京都知事賞受賞。県展にて奨励賞受賞。
1984年 広島平和記念式典に参加。広島別院で「念仏者の平和運動」を主催した。参加者の運賃を、インドの仏跡の砂を入れて焼いた茶碗を作り捻出した。
1985年 本堂再建。
1988年「真宗の広まりと深まり」に関する論文を勧学寮に提出、審問の結果、すべてが間違いといわれ、奮起して出版に勢力を注ぐようになった。
1996年 東雲の会(中途障害者小作業所)を、6人の友人とともに開設。
《著書》
『てれほん人生講話』(潮文社)、『日々のびやかに』(新日本印刷)、『親鸞聖人の現場の教学』(法蔵館)、『ゆがめられた親鸞教学』『親鸞念仏の可能性』『ふかまる横超』『親鸞の霊性』全四冊(国書刊行会)、『反差別の教学』(永田文昌堂)ほか。平和運動の小冊子など。
《論文》
1990年『東方』6号、中村元著――『岩波仏教辞典』に対する西本願寺派からの訂正申し入れをめぐっての論争――の211頁に拙稿が採用引文された。
2004年『東方』20号、『親鸞の利他の思想』――『教巻』と『行巻』のめざした「利他」について――
2005年『東方』21号、『続・親鸞の利他の思想』――『信巻』と『証巻』のめざした「利他」について――
2006年『東方』22号、『続々・親鸞の利他の思想』――『化巻』の宗教摩擦と「おまかせ」――
2007年『東方』23号、『親鸞の《ひろまり》』の教学――『師徒行伝』に対応できる『行巻』――
2008年『東方』24号、『祈り禁止は親鸞の錯覚か』
2020年『東方』36号、『親鸞の「現生成仏論」とその実動
2022年『東方』38号、『親鸞の《ひろまり》』とその煩悩の行方
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