患者のこころ医療人の姿勢【電子書籍版】

(著) 鹿内清三

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作品詳細

[商品について]
―医療訴訟は、なぜ起きる―
患者は病院に自ら行って患者となる場合もあれば、事故等の突発的な事態によりやむを得ず患者となる場合もある。そうした患者に対して医療人がどう接しどう対応するかによって、両者の間にある信頼関係は変わってくる。増え続ける医療過誤訴訟の背景には、そうした患者と医療人の関係に根ざした本質的な問題がある。本書では、これまで多くの医療訴訟に携わってきた著者が、患者側と医療側、そして法律家の目線からこの問題について言及していく。患者心理からみた満足度やインフォームド・コンセント、リスクマネジメント、紛争解決の方法など「医療の広場」で72回にわたり連載してきた記事をまとめた患者・医療人必読の一書。

[目次]
はじめに
第一部 患者のこころ
一 患者のこころ
患者の受け止め方(言葉)
●──生きられたものの本音
●──患者学とは〝患者心理学〟である
患者の受け止め方(接触)
●──患者の取り違い、モノの取り違い
●──「手の技術」と接触の心理的効果
●──患者学の「中核」にあるもの
二 「死」の受容
人それぞれの「死」の迎え方
●──「死」の受容をめぐって
●──「死」と苦しみについて
●──死の二様の感じ方
●──「死に方」と「死なされ方」
病名の告知
●──『一、三〇〇人の闘病記』から
●──告知、非告知をめぐって
三 患者にとっての医療者
医療を受ける者の理解
●──診療情報提供の指針とその背景
●──患者が医療記録を見たい理由
医療事故後の医師と患者の関係
●──医療事故報道と外来新規患者
●──医療における「信頼関係」
●──事故が起きても患者が転院しない理由
●──診療を継続させる「信頼関係」
●──医療における「信頼」と「期待」の関係
問診と診断
●──問診の形式とコミュニケーションの成立
●──診断は主観的確信の問題
四 なぜ医療紛争はおこるのか
医療事故訴訟の現状
●──顕在化している医療紛争の推定数
医療事故被害者の心理
●──被害者の行動パターン
●──家族の死は「一人称態」の死
患者はなぜ医療訴訟を起こすのか
●──医療事故被害者の抗争の本意
●──日米の紛争顕在化の差の理由
判決が示す患者の心理
●──期待権侵害を最初に認めた最高裁判決
●──十分な治療を受けて死にたいと望む声
五 患者を左右するマスコミ
マスコミの報道と事故の実際
●──二つの患者誤認事故とマスコミ
●──捕捉できない医療事故件数
マスコミの報道による患者への影響
●──受け取り手反応と社会効果の関連性
●──個人と社会的役割の関係
第二部 医療人の姿勢
一 医療人と情報提供義務
医師の情報提供義務
●──薬の服用の実状と情報提供義務
●──病名告知と医師の困惑
●──告知できないジレンマ
●──虚偽の病名を告知したケース
●──退院時の療養についての説明
インフォームド・コンセントの有り様
●──適切な説明の努力義務と信頼感形成
二 医療事故の原因となるもの
過失の存否を決める医療水準
●──患者の苦情が賠償請求に転化するとき
事故の原因分析
●──ヒューマン・エラーと〝誤りの心理〟
三 医療事故を防止するために
リスクマネジメント
●──事故を防ぐ医療の基本と病院のリスク
医療評価
●──医療の質を評価する「5つのD」
事故防止対策
●──事故発生の過程の解明と安全対策
四 医療過誤訴訟の解決に向けて
医療不信
●──原因探索と不誠実診療
紛争を顕在化させない方策
●──患者家族の心理的変化の過程
医療における守秘義務
●──医療従事者に守秘義務がある理由
訴訟と費用
●──弁護士報酬の敗訴者負担原則
●──生命の尊貴と身体の値段
紛争解決のための対処法
●──医療紛争解決の目標
引用および参考文献
著者略歴

[担当からのコメント]
本書でも言われている通り、医療という行為にはリスクが付きまといます。これからは患者も医療のリスクをどう考えるかについてそれなりの知見が求められる時代になるのでは、と本書を読みながら率直に思います。医療関係者はもちろん、医療リテラシーを高める一書としてもご活用いただければ嬉しく思います。

[著者略歴]
鹿内 清三(しかない せいぞう)
昭和35年:慶應義塾大学法学部卒業
昭和37年:法務省訟務局入省、国家賠償訴訟担当
昭和44年:厚生省医務局訟務専門官、国立医療機関訴訟担当
平成7~12年:厚生省保健医療局訟務専門調査員
平成8~14年:医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構顧問

現 在:国立保健医療科学院講師
    厚生労働省看護研修研究センター講師
    東京医科歯科大学医学部非常勤講師
    国際医療福祉大学非常勤講師
    共立薬科大学大学院非常勤講師

所属学会:日本病院管理学会

著 書:「訴訟事例に学ぶ医療事故と責任」(第一法規出版、平成2年)
    「医療紛争の防止と対応策―病院のリスクマネジメント」(第一法規出版、平成6年)
    「薬剤事故の責任と服薬指導」(第一法規出版、平成7年)
    「患者のこころ」、医療の広場、72回連載(政策医療振興財団)
    他に、共著、論文

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