在宅医療が日本を変える:キュアからケアへのパラダイムチェンジ【電子書籍版】
(著) 中野 一司
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―「治す」だけの医療システムでは、日本はもうもたない―
超高齢社会を迎え、日本の慢性期医療は「キュア」志向の病院医療から「ケア」志向の在宅医療へという思考の転換が求められている。現在の医療崩壊はキュア志向=病院医療の崩壊であり、この危機を乗り越えるためにはケア志向=在宅医療という思考がなければならないーー1999年に在宅医療専門のクリニックを開業して以来、長く地域医療に携わってきた著者が、村田理論におけるキュア概念とケア概念を用いて在宅医療の新たな医療概念を提唱しながら、現在進行形の医療崩壊から医療再生、そして看取りや終末期医療の問題までを考察した21世紀の在宅医療論。
[目次]
【巻頭言】 超高齢社会に必須の新しい医療の形を提言
1 はじめに ――在宅医療が日本を変える
2 村田理論におけるキュア概念とケア概念 ――“苦しみの構造”(文献1)
3 病院医療(キュア志向の医療)と 在宅医療(ケア志向の医療)
3.1 ケア志向の医療である“在宅医療”という 新しい医療概念の提唱
3.2 医療崩壊の真犯人――超高齢社会の到来
3.3 在宅医療と病院医療
【コラム】リレーエッセイ「続・時間の風景」 「生きているとは?」
4 医療法人ナカノ会の13年の歩み
4.1 医療法人ナカノ会
4.2 ICTのフル活用
4.3 教育環境の整備
4.4 ケアタウン・ナカノ構想と ナカノ在宅医療連携拠点センターの設立
5 在宅医療と情報革命(ICT革命)
5.1 情報革命(ICT革命)とは?
5.2 ML(メーリングリスト)活用のもたらす意味
5.3 勉強(学習)することの重要性
5.4 在宅ケアネット鹿児島ML(CNK-ML) http://nakanozaitaku.jp/carenet.html
5.5 一般社団法人全国在宅療養支援診療所連絡会ML http://www.zaitakuiryo.or.jp/
5.6 情報革命がもたらす意味
5.7 医療法人ナカノ会のICT活用と経営哲学
5.8 セキュリティの問題
5.9 学問の重要性
5.10 “金持ち”から“心持ち”へのパラダイムチェンジ
6 情報革命(ICT革命)と政治、社会変革
6.1 “本来的”生き方(ハイデガー)と、 “行動する良心”(ヘーゲル)
6.2 政治と情報革命(ICT革命)
6.3 ジェンダー問題と情報革命(ICT革命)
7 在宅医療とラップ療法
7.1 ラップ療法とは?
7.2 なぜ、ラップ療法で褥瘡が治るのか?
7.3 ラップ療法の基本的な考え方
7.4 病院医療の鬼っ子――ラップ療法
7.5 在宅医療に相性のよいラップ療法
7.6 ラップ療法は在宅医療だという哲学(コンセプト)(文献11)
8 看取りの文化の創造 ――再びキュアからケアへのパラダイムチェンジ
8.1 慢性期医療の哲学を、キュア志向の病院医療の哲学から ケア志向の在宅医療の哲学へパラダイムチェンジする必要性
8.2 患者が望む医療の実践
8.3 家族や介護職の介護負担の軽減
8.4 財源問題としての“看取り”の問題
8.5 在宅医療は孤独死(検視)を減らす
9 終わりに:医療再生のシナリオ ――地域包括ケアシステムの構築に向けて
9.1 はじめに――今後の医療・介護システムの方向性
9.2 かかりつけ医の重要性(総合医としての在宅主治医)
9.3 地域での在宅医療・ケア供給体制
9.4 医療再生のプログラム――病院医療中心(キュア志向)システムから地域包括(ケア志向)システムへのパラダイムチェンジ
参考文献
【資料】 医療法人ナカノ会10年を振り返って ――次なる10年の飛翔に向けて
あとがき――謝辞にかえて
著者略歴
[担当からのコメント]
本書があつかう在宅医療というテーマは、単に医療の場が病院から自宅へと移るということではなく、地域や社会全体でより良く生きるための医療をどう考えるかという非常に大きな問いを含んでいます。その意味で本書は、医療関係者だけでなく一般の方にとっても示唆に富む内容となっています。ぜひご一読ください。
[著者略歴]
中野 一司(なかの・かずし)
医療法人ナカノ会理事長/鹿児島大学医学部臨床教授/
全国在宅療養支援診療所連絡会IT・コミュニケーション局長
1956年3月、鹿児島県阿久根市生まれ。医師を目指すも二浪し東京理科大学薬学部に入学。理科大時代前半は大いに遊び、1年留年をはさんで後半は学問に目覚めた(薬剤師免許取得、ただしペーパー薬剤師である)。さしたる受験勉強なしで81年、鹿児島大学医学部に再入学(医師免許取得)。臨床医学を研修すべく87年4月、鹿児島大学病院第3内科入局、さらに救急部でも研修をつむ。95年3月、鹿児島大学医学部大学院内科系卒業。医学博士(研究テーマ:血液凝固学の分子生物学)。95年4月から鹿児島大学附属病院検査部に所属し検査部内コンピュータネットワークシステムの構築に従事。
1999年9月、象牙の塔を飛び出しナカノ在宅医療クリニック開設(院長)、2003年10月医療法人ナカノ会とし理事長に就任。08年3月鹿児島大学医学部臨床教授に就任。09年2月の第11回日本在宅医学会大会長を務めるにあたりメーリングリストで企画・運営を行い、現在在宅ケアネット鹿児島ML(CMK-ML)を主宰(会員1400人超)。
2012年5月、ナカノ在宅医療連携拠点センターを設立、10月からは「ケアタウン・ナカノ構想」第一期事業に着手し、充実した毎日を送っている。趣味は読書と学問。
著書に、『臨床診断のピットフォール』(只野壽太郎・松井征男監修、医歯薬出版)『感染症』(一山智・丸山征郎編、メディカルレビュー社)『がんの在宅医療』(坪井栄孝監修、田城孝雄編著、中外医学社)〔ともに共同執筆〕ほか。
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