戦意の研究──敢闘精神対戦闘意欲 日僑対華僑
(著) 浅井壮一郎
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―騙される方が悪いなら騙されるな。そして戦え!―
海外においてビジネスは戦場そのものであり、そこでは安易な遵法精神は通用しない。特に悪徳行為がはびこるアジアでのビジネスは、戦う意志がなければ足もとを掬われ立ちどころに敗者となってしまう。本書は、ある華僑に「できない悪はない」と言わしめたフィリピンを舞台に、ビジネスの悪徳の側面に目を向け、清廉潔白で和を貴ぶ日本人が海外ビジネスを生き抜くために必要なものとは何かを浮き彫りにした、日本人のための「ビジネス不道徳講座」である。中国や東南アジアで「何でもあり」の相手と戦うためのビジネスマン必読の書。
[目次]
はじめに
序 章 歴史を語るにあたって
老華僑の壮絶な死が教えたこと
形骸化していく日本人の敢闘精神
懺悔録と化した歴史を見直すべし
第一章 ビジネス不道徳講座
暗殺――老華僑の死
白昼の凶行を巡る不可解な背後関係
マルコス政権と結んだ強引な蓄財法
結局、事件の真相は闇の中に
アンダーテーブル――利権と収奪
リベートはアジアビジネスの常識
創業以来、脱税を続けてきた会社
利益の三割に達する使途不明金
裏金は安易に払ってはならない
相続を巡る骨肉の争い
「無理のしっぺ返し」が組織を腐敗させる
自己責任とコンプライアンス
「この話は聞かなかったことにする」
他人に犠牲を払わせない義務
海外に土着する「日僑」創設の提言
誇りと情熱が汚職・腐敗を防止する
不法行為にどう対処するか
法律秩序の世界標準の確立
ジャスティス――矜持と自衛
自己責任の重みと孤独
守られた裁判の公正
KMU労働組合との戦い
労使交渉もアングラでの争いに
「エスタブリッシュメント流」対「華僑流」
兄弟間の仁義なきビジネス戦争
神風の碑――敢闘精神の復権
敢闘精神を失った戦後の日本人
特攻隊に見る自己犠牲の精神
貪欲に金と女を求めた強国スペイン
理不尽・不条理に対する反作用
戦闘意欲と敢闘精神の葛藤
歴史を動かす階層逆転のエネルギー
戦闘意欲と敢闘精神
「羊の子」となった戦後の日本人
最も危険な「無防備の富」
中国史を操る秘密結社・幇(ばん)の存在
歴史は正反対な二つの戦意の葛藤である
第二章 フィリピン史
スペイン支配時代
キリスト教による霊的主権の回復闘争
独立の英雄ホセ・リサールの改革運動
革命軍の決起と内部対立
アメリカ支配時代
僅か四カ月で決着した米西戦争
比米戦争の勃発と「友愛的同化」策
「ジョーンズ法」から独立に至る道のり
砂糖産業の繁栄が社会変革の契機となる
ラモスによる右派民族主義独立運動
日本統治時代
オスメニヤ、ケソン、ロハスの政治
日本軍のマニラ占領と共和国成立
「バターン死の行進」の真実
ロハスに始まる戦後のフィリピン政治
ラウレル、アキノの登場
独立戦争と対日協力者
おわりに
「参考文献」
著者略歴
[担当からのコメント]
現実的な損得勘定に政治や犯罪が絡んで一筋縄ではいかない国際ビジネス、その表向きの貌である信頼や公正といった理想を愚直に信じる日本人が、海千山千の舞台でどう「日本人」を貫くのか、本書を読んでいるとそんなことを考えさせられます。ぜひご一読ください。
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[著者略歴]
浅井 壮一郎(あさい そういちろう)
1940年 台湾台北市生まれ。
1963年 東京大学農学部農芸化学科卒。農学博士。
食品会社勤務を経て、現在、フィリピン協会理事。
NPO国際資源活用協会顧問。
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