軍事作戦指揮

(著) 坂本祐信

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―戦争も、自衛隊も、タブーとする時代は終わった―
創設から70余年が過ぎた自衛隊は、その間国際法上は「軍隊」としての要件を満たしながら国内法上「軍隊」として扱われないという中途半端な状態に置かれながらも、実戦経験のある旧軍人を中心に組織の基幹となる人材を育て、米軍方式の合理主義も取り入れて体制整備を図ってきた。しかしそうした努力も、シビリアン・コントロールの名の下に軍事作戦の何たるかも知らない人間が意思決定を行っては何の意味もない。もはや平和を唱えれば戦争を回避できる時代は過ぎ去ったいま、国民一人ひとりが国防について考え軍隊や軍事について理解を深めなければならないーー国家存亡に直結する重要問題である軍隊と軍事作戦について、「作戦指揮」という視点から指揮官の資質、意志決定と実行のあり方、日本固有の法制上の諸問題を解説した「軍事作戦指揮」入門。

[目次]
はしがき
第1章 軍事機構における指揮統率
1.軍の本質
2.指揮の本旨
3.指揮の要訣
(1)軍における指揮の特質
(2)指揮の要訣
4.軍事的合理性・・・作戦指揮において重視すべき原則(戦いの原則)
(1)目的の確立
(2)指揮の統一
(3)情報の優越と保全
(4)主動と先制
(5)攻  撃
(6)集  中
(7)機  動
(8)奇  襲
(9)簡  明
(10)経  済
5.指揮の形態及び指揮官の位置
(1)部隊の規模と指揮の形態
(2)指揮官の位置
6.指揮権の継承
第2章 指揮官・幕僚・部隊
1.指揮官
(1)指揮官の重要性
(2)指揮官の責任と権限
(3)指揮官に求められる資質・能力
(4)指揮と統御
2.幕  僚
(1)幕僚の意義
(2)幕僚の責務、職責、資質、心得
3.指揮官と幕僚
(1)幕僚は補佐役・・・部隊を指揮する権限なし
(2)指揮官と幕僚の関係
(3)指揮官と幕僚の相性
(4)上級指揮官の隷下部隊指揮官に対する配慮
(5)幕僚と部隊
第3章 指揮の実行
1.指揮の実行とは
2.状況判断
(1)状況判断とは
(2)状況判断の思考過程
(3)状況判断の性格
3.決  心
(1)指揮官の決心
(2)状況判断と決心の関係
(3)作戦・戦闘間の決心・・・指揮官も人間、それでも迷う
4.計  画
(1)計画の意義
(2)計画の性格
5.命  令
(1)命令の意義
(2)命令の性格
(3)命令の要件
6.監督指導
(1)監督指導の意義
(2)不具合・齟齬等の要因の発見評価
(3)所要の監督指導および対応処置
7.調整と統制
8.報告・通報と意見具申
(1)報告・通報
(2)意見具申
第4章 幕僚要務
1.幕僚要務の意義
2.文書要務
3.通信要務
4.会  議
5.幕僚訪問
6.幕僚研究報告及び作戦日誌等
(1)幕僚研究報告
(2)作戦日誌等
7.戦闘に関する報告
(1)戦闘速報
(2)戦闘要報
(3)作戦・戦闘詳報
第5章 作戦司令部における整合された活動
1.現代戦における作戦指揮
2.作戦司令部
(1)司令部組織
(2)幕僚長
(3)部長の職にある総合幕僚
(4)各部等に所属する幕僚(特別幕僚、専門幕僚)
(5)指揮官に専属する幕僚(専属幕僚)
(6)配属幕僚・連絡官
3.平常時における作戦司令部の活動
(1)作戦運用にかかる資料(幕僚諸元)の最新化と充実
(2)幕僚見積
(3)想定事態対処計画(Contingency plan)の作成
①想定事態の指定(計画作成作業の開始)
②作戦構想の策定のための任務分析(状況判断の第1段階)
③行動方針案の選定
④ウォーゲームによる各行動方針案の分析
⑤各行動方針案の比較
⑥作戦構想の確定(状況判断の判決、決心)
⑦計画の作成
(4)想定事態対処計画の見直し修正
4.有事・緊急事態発生時における作戦司令部の活動
(1)指揮所(戦闘指令所)の開設・・・危機事態(非常事態)の発生
(2)作戦部隊としての対応方針の決定・・・状況判断
①任務の確認・指揮官の意図の提示
②行動方針案の選定及び最良行動方針の選定
③指揮官の決心
(3)対処計画の作成
(4)作戦命令の発出・・・指揮官意志の発動
A.作戦命令の形式と深さ
B.作戦命令の下達
C.作戦命令に関する秘密保全
(5)実行の監督指導
A.監督指導のための幕僚活動の一般要領
B.実行状況の確認
C.分析評価
D.対策(実施事項の修正・変更等)
E.資料の整理、教訓の活用
(6)報 告
第6章 後方・兵站の決定的重要性とこれにかかるデータ・ベースの維持管理
1.後方・兵站の決定的重要性
2.複雑多岐なデータをどう把握するか・・・データベース整備活用の必要性
3.米軍の統合作戦にかかるデータベースの維持管理
第7章 法制面から考える「軍」としての自衛隊 ・・・作戦指揮にかかる法制上の諸問題・・・
1.軍事機構(自衛隊・国防軍等)と自由民主主義制度との関係
(1)なぜ軍令(作戦命令)と一般行政命令を区分しなければならないか
(2)なぜ「作戦命令」は「ネガティヴ・リスト方式」でなければならないか
(3)文民統制(シビリアン・コントロール)の本旨は何か
(4)構成要員(軍人・自衛官)が特殊な立場にあることをどのように捉えるか
2.我が国の防衛法制に内包する主要な問題点
(1)わが国防衛法制の制定過程における特殊性
(2)防衛省設置法
(3)自衛隊法
(4)自衛官身分法及び軍事裁判制度の欠落、処遇・栄典に関する配慮の不足
付録―1 戦後わが国における防衛法制整備の歴史
付録―2 現行憲法下で軍事裁判制度の導入は本当に不可能なのか
あとがき
著者略歴

[担当からのコメント]
戦争をしてはならないという理想は、戦争について無知であることの理由にはならない筈ですが、今までの日本は何となくそんな理由が罷り通ってきていたように思います。戦争という冷酷な現実に今いちど目を向け、国のあり方について考えるうえでも、今を生きる全ての日本人にお薦めしたい一書です。

[著者略歴]
坂本祐信(さかもと・ゆうしん)

石川県出身。昭和34年7月航空自衛隊入隊。昭和39年3月防衛大学校卒業。昭和51年7月航空自衛隊幹部学校指揮幕僚課程修了。昭和57年7月統合幕僚学校一般課程修了。統合幕僚会議事務局第3幕僚室勤務を経て、航空自衛隊芦屋救難隊長、同百里救難隊。百里救難隊長時代の昭和61年8月5日、豪雨による那珂川氾濫に際し救難部隊を指揮して水戸市内の孤立者236名を救助した。昭和62年1月航空幕僚監部調査第2課情報第2班長。昭和63年7月1等空佐、同年8月第44警戒群司令。平成2年12月航空支援集団司令部防衛課長。平成5年5月退官。

平成9年から平成23年まで日本戦略研究フォーラム政策提言委員。平成24年から公益財団法人偕行社近現代史研究委員会研究員・同安全保障研究委員会研究員。

著作
『近現代日本の軍事史』(全5巻) かや書房
 ○ 第1巻(国家生存の要・陸海軍の発展)
 ○ 第2巻(政軍関係混迷の果てに)
 ○ 第3巻(再出発)
 ○ 第4巻(東西冷戦の狭間で)
 ○ 第5巻(新たな試練)
『現場こそ天命の舞台』22世紀アート(Kindle版)

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