愉悦のインド細密画──知れば知るほど面白いその歴史・宗教・文化を読み解く
(著) 浅原昌明
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―細密画をみればインドが分かる―
16世紀から19世紀にかけてインド各地の藩王国の宮廷で描かれた細密画は、A4程度のサイズにインドの歴史・宗教・文化が凝縮された絵画芸術である。テーマの多様性、色彩や構図の奇抜さ、描写技法など絵画としての魅力を持ちながら、その内容を読み解くことで「インドの歴史・宗教・文化を知る」という面白さと喜びも味わうことができるインド細密画を、本書では豊富な図版と共にじっくりとご紹介していく。伝統的なヒンドゥー教系の細密画からイスラム教系の細密画まで、その歴史と文化、楽しみ方が分かる初めての人のための「インド細密画」読本。
[目次]
第1章 インドの細密画との出会い
1 細密画との出会い
◆細密画に描かれたインド
2 細密画前史
◆経典の挿絵から生まれた細密画
3 インドの細密画
◆インドの伝統的なヒンドゥー教系の細密画
◆ペルシャの影響を受けたイスラム教系の細密画
第2章 インドの伝統的なヒンドゥー教系の細密画
1 ラージャスターン派細密画
◆メワール派
◆ブンディー派
◆ジャイプール派
◆キシャンガール派
2 パハーリー派細密画
◆バソーリー派
◆チャンバー派
◆カーングラ派
3 六つの特徴
◆横顔に大きな目
◆線描を重視
◆色彩の平面的な画面構成
◆「物語性」を求める
◆時間の経過を同時に描写
◆複数の視点をひとつの画面に描く
4 神話・文学の細密画
◆インドの古典文学
◆クリシュナ神信仰文学
5 音楽の細密画と季節の細密画
◆音楽を表す細密画
◆図像と画面構成のルール
◆季節を描いた細密画
第3章 ペルシャの影響を受けたイスラム教系の細密画
1 デカン派細密画
◆マールワー派
◆ビージャプール派
2 ムガール派細密画
◆初期のムガール派
◆最盛期のムガール派
◆衰退期のムガール派
3 六つの特徴
◆装飾から写実へ
◆横顔や光輪の描写
◆中国の山水画の影響を受けた岩山
◆戦争シーンを描写した歴史画
◆「花鳥画」「動物画」という新分野
◆ヨーロッパ・キリスト教絵画の影響
4 イスラム教系細密画で描かれたもの
◆イスラム教のインドへの広がり
◆歴史記録の細密画
◆花鳥画、動物画
◆音楽の細密画
第4章 インドの細密画は語る
1 一枚の細密画に凝縮された歴史・宗教・文化
◆絵画のもうひとつの見方
2 インド・イスラム文化の華としての細密画
◆融合し合った柔軟な文化
◆二つの文化の出会いが創造する豊かな芸術
◆学ぶべき寛容の精神
◆付記 ペルシャの細密画
おわりに
付録 インドの細密画を見る美術館・博物館
細密画出典一覧
著者略歴
[著者略歴]
浅原昌明[あさはら・まさあき]
1941年、大阪市生まれ。インド・ペルシャ細密画研究者。
1964年、大阪府立大学経済学部卒業。同年、松下電器産業株式会社入社。1979~83年、同社のインドの子会社に出向。インドの細密画に初めて出会い、魅了される。以来二十数年間、会社勤めのかたわら、細密画の研究を続けている。
2000年の定年退職後、インドにて実地調査を行なう。細密画が描かれた時代の藩王国の宮殿・城塞や、細密画が保管・展示されている美術館・博物館を訪ねる。市井の研究者ながら、細密画に描かれたインドの歴史・宗教・文化と魅力を、多くの人々に紹介しようと努めている。05年以降は、イランやトルコにも訪れ、より広範囲にわたる細密画を研究中。
著書に『インドの細密画を訪ねて(上・下)』(新風舎)がある。
[担当からのコメント]
インドの文化は様々な形で日本にも入ってきていますが、この細密画については知らないという方も多いのではないでしょうか。とりあえずはご覧になってみてください。インド細密画という魅惑の世界へ、本書が貴方をご招待します。
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