愛の探究 : 東西の思索をたずねて
(著) 片倉望
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―フィリア、エロース、アガペー、どれも皆「愛」である―
恋愛、博愛、母性愛、愛国心ーー「愛」には様々な形がある。そもそも「愛」という言葉自体は、時代や国、宗教、地域、文化などの中で多様な概念として使われてきた。そして現代の社会でも、「愛」は使い勝手の良い言葉としてその曖昧さを増幅させながら多用され続けているーーアリストテレスの友愛論から朱子学における愛まで、現代社会が抱える諸問題にも直結する「愛」の概念を、古今東西の歴史、思想、文化などの様々な視点から探究した「愛」の比較思想史。
[目次]
まえがき
Ⅰ 愛と世界
1.母性愛と母性本能
2.アメリカにおける愛国心と共和主義
3.山水花鳥を愛でる ――中国絵画の場合――
4.「博愛」と「恋愛」の文学 ――中国近代文学史によせて――
Ⅱ 愛の思想史
1 西の思想史
1.アリストテレスの友愛論
2.アガペー・エロース・フィリア
3.愛の諸形態 ――とくに自己愛について――
4.カント倫理学における「義務」と「愛」
2 東の思想史
1.仏教における愛と慈悲
2.無明と渇愛
3.中国古代における「仁愛」と「兼愛」
4.日本における愛の諸相
参考文献
執筆者紹介
[担当からのコメント]
諸外国と異なり愛の概念についての言葉が少ない日本語は、愛という言葉に様々な意味が含まれるようになっています。そして全く異なる概念も愛という同じ言葉を含むだけで互いに影響しあい、その意味がますます曖昧になっているような印象も受けます。「愛」という言葉から見えてくる人間と社会の探究の旅を、ぜひ本書と共にお楽しみいただければ嬉しく思います。
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