西洋思想の源流と展開:現代に続く哲学の系譜を読む
(著) 藤田昇吾
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15世紀以降の西洋世界の急速な拡大は、如何にしてなされたのか。
本書は、宗教、科学技術の発展の背後にあった思想に着目し、古代ギリシアから近代哲学にいたるまでの、西洋思想の系譜をたどり、私たちの世界との関わりを明らかにしようとする試みである。
偉大な思想も、そこに含まれる問題に自ら対峙し思索を深める行為がなければ意味をなさない。そのために本書では、思想家たちがいかに問題を捉えいかに乗り越えようとしたかに重点をおいた思索がなされている。「勝手な解釈」ではなく、深い思想の系譜に根差した「哲学」を身に着けるための最適の一書となっている。
[目次]
まえがき
改訂版に寄せて
序文 西洋世界拡大の動因
第Ⅰ部 西洋思想の源流
第1編 ヘレニズム
第1章 自然哲学の生成と完成
第2章 ソフィスト(プロタゴラスとゴルギアス)
第3章 その他のソフイストたち(記述順序は年代順ではない)
第4章 ソクラテス
第5章 プラトン
第6章 アリストテレス
第7章 後期ギリシア、ローマ哲学
第2編 ヘブライズムの宗教思想
第1章 ユダヤ教
第2章 キリスト教
第Ⅱ部 近代思想の展開
第1編 イギリス市民社会の思想
第1章 理想社会形成の基本理念
第2章 T・モアの「ユートピア」
第3章 フランシス・ベーコンの実験主義 「知は力なり」
第4章 T・ホッブズの「リヴァイアサン」
第5章 ロックによる経験論の確立
第6章 ジョージ・バークリの神の存在証明
第7章 ヒュームの懐疑主義
第8章 功利主義 utilitarianism41)
第9章 現代の英米哲学
第2編 ドイツ近代哲学思想
第1章 M・ルターによる宗教改革
第2章 カントの批判主義的哲学思想
第3章 カントの実践哲学
第4章 ロマン主義と非合理主義
(注)
あとがき
[出版社からのコメント]
電子顕微鏡や加速器がなかった古代ギリシアの哲学者たちは、それぞれの英知の限りをつくしてこの世界の成り立ちへの思索を深めました。かれらの哲学はときに否定され、とき次の世代へと継承されましたが、残念ながら私たちの多くは、その系譜を単なる遺産としてしか受け取ることができていません。思想の意義が対立する思索を活かすことにあるのだとすれば、反対意見を拒絶するのではなく、それを乗り越える作業が重要となります。本書は、偉大な思想家たちの思索を乗り越え、私たちの時代の哲学を見出すための良き水先案内人となりうるものです。私たちの社会の基盤をなす「思想の自由市場」を画餅に帰さないために、多くの方に本書をお役立ていただければ嬉しく思います。
[著者プロフィール]
藤田 昇吾(ふじた・しょうご)
1939年3月1日生。1972年3月京都大学大学院博士課程(哲学)単位取得退学。
現在 大阪教育大学名誉教授,元大阪総合保育大学教授。
著書=『カント哲学の特性』(2004年、晃洋書房)
翻訳=L.W.ベック「カント『実践理性批判』の注解」(1985年、新地書房)L.W.ベック『6人の世俗哲学者たち』(2017年、晃洋書房)
論文=「カントの最高善における道徳性と幸福」(大阪教育大学紀要、1986)、「カントの永遠平和の理念」(同、1987)、「ジョン・ロックの宗教的寛容の精神」(イギリス哲学研究、1987)、「R.フィルマー『家父長論』とJ.ロック「市民政府論」の比較考察」(大阪教育大学紀要、1992)、「必然と自由――運命と意志」(北九州市立大学紀要、2007)、「哲学的人間本性論――性無記説、性善説、性悪説」(大阪総合保育大学紀要、2008)他
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