シニアミドルが直面する自己変容の必然
(著) 大井俊一
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―やがて、あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間によって占められる―
現代のビジネスは雇用環境が変化し、働く意欲のある高年齢者に活躍の場が与えられるようになってきている。一方で「ピーターの法則」が予測するように、組織活動の中核を担うシニアミドルが「職責を果たせない無能人間」となってしまえば、組織の発展にとって大きな障害となる。では階層社会において頭打ち現象に直面したシニアミドルが、65歳あるいは70歳まで有能レベルで職責を果たし存在感を発揮するためには何が必要だろうか。こうした問題意識のもと、本書では主に40代後半から50代の中堅リーダークラスを対象に、階層社会におけるシニアミドルのあり方を考えていく。なぜシニアミドルは無能レベルに陥ってしまうのか、如何にして無能レベルから脱却し新たなキャリアプランを築いていくのか、階層社会を生きる全てのビジネスパーソン必読の一書。
[目次]
はじめに
第一部 階層社会におけるシニアミドルの無能化の原因
第一章 「ピーターの法則」に陥る無能化の原因を全般的視点から探る
1 人間の本性に関わる無能化への本質的な原因
2 シニアミドルに期待される役割への無理解
(1)リーダーシップとマネジメントの違いを理解できていない
(2)オーバーマネジメントまたはマイクロマネジメントに偏る
(3)「過剰適応」してしまう
(4)組織に居心地のよさを求めてしまう
(5)全体最適思考が欠如している
3 階級社会でのアイデンティティの喪失
(1)昇進限界を自覚したとき
(2)新しい環境でリセットできない
(3)権力者への忖度で自分らしさを失っていく
(4)精神の堕落、そして「ピーターの必然」へ
4 シニアミドルが無能化する共通的な原因
(1)自己防衛・不安回避反応が本能的に働く
(2)情報の共有ができていない
(3)課題解決の方策が環境変化に対応できていない
(4)固定概念から抜け出せない
第二章 チーム・グループのリーダー層特有の無能に陥る原因
1 ミドル・アップダウン・マネジメントが機能していない
(1)情報交流の中核としての自覚と自立性に乏しい
(2)情報ネットワークのハブ機能の構想を持てない
(3)コミュニケーションへの責任感が乏しい
(4)ミドルの人間性に問題がある
2 自律できていない
(1)性格的に争いを避けたい
(2)自分の殻に閉じこもり変化を求めない
(3)無気力症候群に陥る
(4)恐怖感、不安感が盲従心、また逆に反抗心を助長する
3 継続的学習、転換、変容への意識の弱さ
(1)継続的学習
(2)思考・発想の転換
(3)自己変容
第三章 部門中核リーダー層に特有の無能に陥る原因
1 おごり、野心、嫉妬心をコントロールできない
(1)「おごり」について
(2)「野心」について
(3)「嫉妬心」について
2 専制的支配欲から脱却できない
(1)自負心が高揚する
(2)誤った記憶や想像を本物と信じる
(3)感情をコントロールできない
3 計画的、継続的な学習意識に乏しい
(1)雑多な課題を抽象化できない
(2)思考回路を持っていない
(3)無責任体質が浸透している
4 光から影へと転換する二面性から逃れられない
第二部 階層社会におけるシニアミドルの無能レベルからの脱却
第四章 無能レベルからの脱却の動機付け
1 気付きの設定
(1)無意識からの気付き
(2)意識的な気付きの誘発
2 「知識の発散」思考で情報の収集と分析
(1)「知識の発散」の動機付け
(2)「知識の発散」思考に基づく情報収集と分析
3 「知識の収束」思考からファーストコンセプトの表出化
第五章 無能レベルからの脱却の方策を全般的視点から探る
1 「自律」を確認し、役割に挑戦する自走力をつける
2 シニアミドルの「学び」への視野拡大を確認する
(1)「快楽と痛み(苦痛)の原則」を乗り越える
(2)現状打開の「学び」の誘発戦略
(3)創造性への知的挑戦
(4)自分のマーケティング
(5)自分のブランディング
3 シニアミドルの「学び」を刺激する環境づくり
(1)改良・改善の職場環境での「学び」
(2)改革・革新の職場環境での「学び」
(3)人事部の支援
4 「自己変容」へのアプローチの指針
(1)自己変容への思考方向からのアプローチ
(2)自己変容への行動方向からのアプローチ
第六章 シニアミドルのスペシャリストへの道筋
(1)スペシャリストを志すシニアミドル思考
(2)スペシャリストとして生き抜く行動指針
第七章 シニアミドルのプロフェッショナルへの道筋
(1)シニアプロフェッショナルの条件
(2)経営スタッフ機能発揮のための行動指針
(3)プロジェクトチームで活動するための行動指針
第八章 シニアミドルのフォロワーへの道筋
1 No.2型フォロワーへの道筋
(1)寛容と協働で「何でもやる」心意気で臨む
(2)ワンマン独裁型リーダーをどのようにフォローするか
(3)「組織の政治性」の排除に静かに挑む
(4)ペアのパートナーシップを核に組織改革を拡げる
(5)PDCAサイクルを評価基準にして組織運営をチェックする
(6)ファシリテーター、コーチとしての機能を発揮する
2 参謀型フォロワーへの道筋
(1)経営の基本条件を念頭にユニークな戦略構想を持つ
(2)戦いは戦略、作戦、戦術の三位一体が必須条件になる
(3)参謀の二つのタイプ、前衛型と後衛型を連携力で活かす
(4)目標作成には最高と最悪の状態を想定する
(5)関連部門間、グループ間の「共進化」を視野に入れておく
(6)強力な権力者、敵対者には「ジレンマ作戦」を仕掛ける
(7)課題の解析と解決策、課題発見には、まずは帰納法的思考で臨む
(8)「忍者」の知恵を学ぶ
(9)組織の「リスキーシフト」と、逆の「コーシャスシフト」をコントロールする
(10)組織の「空気」調整力を持つ
(11)インビジブルヒーローの心意気と覚悟を持つ
第九章 シニアミドルの「グレイト」リーダーへの道筋
1 シニアミドルの「有能なリーダー」への挑戦
(1)マクロマネジメントを可能にする
(2)組織力を整えて挑戦する
(3)メンバーの中に潜んでいるインフルエンサーを活かす
(4)集合知を活かす
2 シニアミドルの「グレイトリーダー」への挑戦
(1)自己制御能力を高める
(2)自分のありたい姿を心の内で宣言する
(3)予測力を高める自己研鑽に励む
おわりに
1 「生きがい」を育む
(1)想像力を豊かにする
(2)準備する心を育む
(3)努力・変化・誇りのサイクルでエネルギーを高める
(4)自分の足跡を大切に思う
(5)自分らしさを磨く
2 「何を残すか」を考える
参考文献
[担当からのコメント]
企業の中堅クラスになると、組織の中で自分はどこまで行けるのか何となく分かる(或いは分からされる)ようになってきます。自分のキャリアプランが頭打ち状態に差し掛かっているという現実に目を向けるのは厳しいものですが、そんなシニアミドルたちにこそ、ぜひ本書を手に取っていただきたいと思います。ビジネスはもちろん、これからの人生を如何に生きるかについても示唆に富む一書、ぜひご一読ください。
[著者紹介]
大井 俊一(おおい・しゅんいち)(Oi Shunichi)
1940年生れ
九州大学農学部農芸化学科卒
農学博士
化学系製造企業にて、研究開発、学術面での営業支援に従事
現在、社員研修講師、講演活動を行っている
著書:
『リーダーシップ:組織を支えるリーダーへのメソッド』(22世紀アート)2020
『「超二流」への進化で仕事が変わる 組織が変わる:個人と組織を活かす新しい生き方』(22世紀アート)2020
『理系力を活かすキャリア開発』(22世紀アート)2021
『こころで勝つリーダーシップ』(22世紀アート)2022
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