明治維新を範とした朝鮮の政変—日本 中国と渉りあった金玉均ら志士達
(著) 上野慎一郎
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―歴史は繰り返す。日韓関係がその轍を踏まないために―
朝鮮・李朝末期に金玉均や朴泳孝、徐載弼ら青年貴族が起こした「甲申政変」は、朝鮮政治史のうえにおいても、その後の日本と清・朝鮮の関係においても大きな意味を持つ政変だった。しかし日本の支援を受けて権力の中枢から親清派を一掃し政権を樹立しながら、僅か3日で終わったこの政変には未だに不可解な謎が多い。李朝政府を改革する志を抱いて明治維新を範に開化政策を推し進めようとした彼らは、能力も教養もあったにもかかわらず何故この杜撰な計画を実行したのか。主導的人物である金玉均の手記である『甲申日録』をはじめ様々な史料をもとに、「上からのブルジョア革命」とも揶揄されるこの政変の実像に迫った歴史ノンフィクション。
[目次]
初本の前書
はじめに
第一部 甲申政変
第一章 クーデター失敗
郵政局の宴会
「日使来護」
開化派政権を樹立
昌徳宮へ還御
衛兵の銃がさびついている
清兵の攻撃
仁川へ敗走
いろいろな疑問
第二章 金玉均の生い立ちと当時の朝鮮
目立った少年
激しい性格
大院君の政治
日朝修好条規
強い反日感情
政治の腐敗
壬午軍乱
国王の反省?
第三章 開化派の形成
先達(せんだつ)
仏教がとりもつ縁
李東仁の活躍
第四章 日本視察
親日家を増やす
発展した日本を伝える
高宗の関心
紳士遊覧団の派遣
金玉均の初来日
太極旗を使う
第五章 団結できなかった開化派各グループ
親清派の開化官僚
金允植の日本観、世界観
袁世凱との縁
実務派の金弘集と魚允中
肌合いの違い
金弘集と魚允中の悲劇
李朝の勢力関係
第六章 福沢諭吉の支援
福沢諭吉の朝鮮観
割れる福沢諭吉の評価
留学生の受け入れ
井上角五郎と「新聞」発行
福沢諭吉の政変直接関与?
漢字ハングル混合文体
第七章 明治政府の朝鮮政策
初期は政策が未確定
井上馨の朝鮮政策
山県、陸奥の考え
金玉均の見方
徐載弼の見方
日清戦争の勝利で狂う?
第八章 日本での国債発行に失敗
借り入れの道を探る
モルレンドルフとの確執
竹添公使の朝鮮観
金玉均と竹添公使の葛藤
井上馨外務卿の借款拒否
モルレンドルフの告げ口?
必死の工作
後藤象二郎との盟約
第九章 具体的な政変準備へ
閔一派との葛藤
竹添公使の豹変
はしゃぎすぎた竹添公使
日本公使館と政変打ち合わせ
竹添公使の甲乙二案
日本政府の政変加担
最後の上奏
第二部 政変以後
第十章 真相を究明せず――政変の後処理
李朝と竹添公使の水掛け論
井上角五郎の下工作
井上馨の辣腕交渉
闖入(ちんにゅう)者
清との交渉
第十一章 朝鮮に反日感情、日本に反清・反朝鮮感情
国王の布告
親日的な開化派一族の悲惨
脱亜論
行き違い
清の勢力拡大、露の南進
第十二章 政府は邪魔者扱い、民間は支援――日本での亡命生活
福沢邸に潜伏
金玉均担ぎ出し計画
金玉均らを恐れる李朝政府
〝島流し〟
高宗へ書簡
小笠原の二年
北海道は二年余りで東京へ
朝鮮の末期症状にあせり
朴泳孝と不仲に
朴泳孝の建白書
第十三章 暗 殺
刺客の接近
凶弾に倒れる
上海行きの目的
日清戦争を予想しなかったのか
日本の世論が激高
第十四章 そして親日派はいなくなった
開化派のその後
福沢諭吉晩年の朝鮮政略
金玉均は「親日派」か、否か
甲申政変後の構想は?
「橋は架からず」
金玉均関連年表
あとがき
著者プロフィール
[担当からのコメント]
本書を読めば読むほど、著者の指摘するとおり当時の日朝関係と現在の日韓関係はよく似ていると思わされます。しかしそれは「似ている」のではなく、日本と朝鮮の関係の本質が現代にいたるまで何も「変わっていない」ということなのかも知れません。本書は、政治に利用される「歴史問題」ではなく、真の「歴史」を学び日韓関係の未来を真剣に考える一助となる一書です。ぜひご一読ください。
[著者プロフィール]
上野 慎一郎(うえの しんいちろう)
1946年8月、大阪府生まれ。
1970年4月、東京大学法学部を卒業と同時に朝日新聞社に入社。宇都宮(栃木)、東京、大阪、京都で勤務。経済記者、論説委員、グループ政策室室長補佐などを務める。
2006年8月に定年退職。現在フリー。
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