夜の中の家族 : 詩集
(著) 万亀佳子
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―沈殿し、反転する詩の言葉たち―
どうしても煮えない部分がある/不幸の種が寄り集まってしこりのようなもの/茄子紺の着物を着た妹は/すっと背筋を伸ばして/家を出て行った/夜通し恋猫が鳴いている/茄子のつるに瓜を生らせる営みを/猫だったかもしれない前世は/いつだって辛い/茄子の花と親の小言に外れはないと/昔の人の言葉に包丁を当てながら/妹の言い分も切り刻む(「秋茄子」より)
生と死、人生と家族、自己と他者、不確かな現実の時間を孕みながら、疼くような詩想のなかで生まれた言葉が紡ぎ出す、渾身の第二詩集。
[目次]
Ⅰ
だんご虫
石かぼちゃ
机
見送り
二階へ
ねじりばな
かりん
菊日和
鳥
秋茄子
荷物
虫めがね
逆さ水
ガラスの靴
Ⅱ
おいてきた半分
音
癖
海―記憶
泣く
眼を洗う
五月
海田駅
Ⅲ
セールスマン
背景
十二月
斎場にて
夏
分業
母
点滅
林
風
ここ
あとがき
著者略歴
[担当からのコメント]
詩作品は詩人の世界を言葉にしたものであると同時に、生み出された瞬間から読み手の前に現れてその人自身の世界を映しだします。本書に収められた詩の言葉に、貴方はどのような詩人の世界、そして自分の世界を見出すでしょうか。ぜひ手に取ってご覧いただければ嬉しく思います。
[著者略歴]
万亀 佳子(まき・よしこ)
1943年 中国北京市に生まれる
1994年 詩集『こんな犬 知りませんか』(ミモザ書房)
2010年 詩集『夜の中の家族』(花神社)第22回富田砕花賞
2020年 詩集『青葉の笛』(三宝社)
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