文学・歴史を読み解くための暦のはなし

(著) 藤原益栄

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作品詳細

[商品について]
―暦から歴史を楽しむ―
古典文学や歴史書を読んでいると必ず行きあたる「暦」の問題。それは明治以前の日本が、現在とは異なる時間の捉え方をしていたことによります。
本書は、文学や歴史に現れる様々な事象を、その当時の人々の時間の中で生き生きと捉え味わうために、暦に関する基礎知識を分かりやすく解説した作品です。
『万葉集』や『奥の細道』など、実際の作品から挙げられた事例を読み解きながら、暦を学ぶ楽しさを味わうことができる一書となっています。

「目次]
序章 本書の三つのテーマ
◆「暦のはなし」といってもいろいろあるが…
◆第一のテーマ~日付のはなし
◆旧暦の日付では季節がわからない
◆西行の歌をどう解釈するか
◆その年・その月・その日の陰陽暦日換算でのみ季節がわかる
◆第二のテーマ~時刻のはなし
◆第三のテーマ~日付、時刻がわかって見えてくること
第一章 太陽暦のはなし
一節 季節の変化はなぜ起きる
◆地球の地軸は公転軸に対し二三・四度傾いている
◆地球の運動は楕円軌道
◆地球の公転を基準にした暦が太陽暦
◆一太陽年は、平均三六五・二四二二日
二節 ユリウス暦とグレゴリオ暦
◆太陽暦の旧暦――ユリウス暦
◆現在の太陽暦――グレゴリオ暦
◆各国のグレゴリオ暦の採用
◆ユリウス暦とグレゴリオ暦との差
第二章 太陰太陽暦のはなし
一節 太陰太陽暦とは
◆「旧暦」「陰暦」とは
◆月の一サイクル(一朔望月)は二九・五三〇五八九日
◆太陰暦の大の月は三十日、小の月は二十九日
◆太陰暦の一年(十二ヵ月)は三五四・三六七一日
◆閏月を設定し「太陰暦」を「太陽暦」と調整したのが「太陰太陽暦」
◆太陰太陽暦の平年と閏年。最短年と最長年
二節 二十四節気・七十二候
◆太陰太陽暦では二十四節気を季節の目安にする
◆二十四節気の意味
◆二十四節気の設定には二つの方法がある
◆平気法と定気法では二十四節気の日付も違う
三節 太陰太陽暦の置閏法
◆平気法の置閏法
◆定気法の置閏法
◆定気法に対する暦学者の批判
四節 暦月と節月
◆暦月とは
◆節月とは
◆暦月か節月かは文脈でとらえる
第三章 わが国の太陽暦の始まり
一節 明治維新の諸改革
二節 明治改暦太政官布告
三節 明治改暦の真相
◆明治改暦の理由
◆明治改暦こぼればなし
第四章 陰陽暦日換算の方法
一節 『日本暦日原典』とはどんな本
◆『日本暦日原典』との出合い
◆『日本暦日原典』換算表の見方
二節 いくつかの換算例
◆天智天皇、漏剋を設置し初めて時の鐘鼓を打つ
◆家持、多賀城にて死す
◆西行、桜の下にて死す
◆芭蕉、多賀城を通過す
三節 干支から日付を計算する
◆『続日本紀』の日付を読み取る
◆二十四節気の日付を計算する
◆そもそも干支とは何か
四節 陰陽暦日換算はユリウス暦でもよいか
◆ユリウス暦換算で太陽暦換算とする例
◆何のために太陽暦へ換算するのか
◆暦の研究者はグレゴリオ暦で統一
五節 歴史時代の気候の変化
◆現在の気候と昔の気候は同じか
◆平安時代の観桜記録
◆『実隆公記』の観桜記録
◆歴史時代の気象変化の概略
第五章 太陰太陽暦の時刻制
一節 時刻認識の発展を考える
◆自然発生的な時刻認識~不定時法
◆暦計算に必要な一日を均等に分ける時刻認識~定時法
◆庶民の生活は一貫して不定時法
◆暦法上も不定時法が採用された天保暦
◆現在の時刻制度~暦法上も生活上も定時法
二節 律令時代の時刻制
◆時刻の測定はいつから始まったか
◆暦法上の時刻表示
◆藤原種継が暗殺された時刻は…
◆『延喜式』に見る宮中の生活~記録は定時法、生活は不定時法
三節 江戸時代の時刻制
◆暦法上唯一の不定時法~天保暦
◆「○つ」は何から生じたか
◆「○つ」はいつ頃定着したか
◆「○つ」は不定時法
◆明治改暦に見る天保暦と現在の時刻制
◆明六つ、暮六つ、日の出、日の入の定義
◆日の出入時刻と明六つ、暮六つの関係
第六章 暦で『万葉集』を読む
◆年内立春の歌
◆新年の歌
◆梅花の歌
◆家持絶唱三歌
◆桃李の花の歌
◆上巳の節句の歌
◆霍公鳥の歌
◆萩の歌
◆越中国を離れる歌
◆もみじ葉の歌
◆『万葉集』最後の歌
第七章 西行『山家集』を読む
第八章 『奥の細道』の時刻を考える
◆多賀城と『奥の細道』
◆角川文庫の時刻解説
◆岩波文庫、講談社文庫の時刻解説
◆定時法と解釈した場合の疑問
◆不定時法と解釈すれば矛盾は解ける
◆まとめ
◆江戸時代の時刻制~暦研究者の立場
第九章 漆紙文書「具注暦断簡」を読む
一節 漆紙文書の発見
◆漆紙文書とは
二節 具注暦の構成
◆具注暦とは
◆『御堂関白記』を見る
◆納音とは
◆十二直とは
◆二十八宿と七曜
◆六曜について
三節 七八〇年十一月の暦となぜわかる
◆「子月」とは十一月のこと
◆撰日法。節切り、月切り、不断
◆十一月辛酉朔の年は
◆十一月二日が「大雪」の年は
◆具注暦断簡の誤写
第十章 質問に答えて
◆歴史に興味を持ったのは
◆多賀城市議会議員になって
◆暦に関心を持ったのは
◆『昭和史歳時記』との出合い
◇「梅の香」と「桃の雫」
◇菊の香
◇「山茶花」と「蕗のとう」
巻末資料
巻末資料1 多賀城~あの日あの時(年表)
一 平城京遷都から三十八年戦争終結まで
二 前九年の役から文治五年奥州合戦まで
三 中近世の多賀城
四 近現代の多賀城
巻末資料2…『延喜式』巻十六陰陽寮
課末資料3…江戸時代(嘉永6年)の暦
図表・資料・写真一覧
あとがき

[出版社からのコメント]
私たちにとって、時間は当たり前のように機械的に過ぎていくものですが、自然のリズムの中で生活していた昔の人たちから見れば、却って不自然なのかもしれません。暦は私たちの生活にも深く関わる大切な存在です。本書を通じて、多くの方が暦に興味を持っていただければ嬉しく思います。

[著者プロフィール]
藤原益栄(ふじわら・ますえい)

略歴 1956年10月 岩手県岩泉町生まれ
   1979年3月 東北学院大学工学部応用物理学科卒
   1983年4月 多賀城市議初当選(2019年まで9期任)

著書:『多賀城と大伴家持』(1996年)
   『多賀城小学校の百二十五年』(1998年共編著)
   『文学・歴史を読み解くための 暦のはなし』(2002年)
   『図説 多賀城海軍工廠』(2012年)
   『多賀城歴史歳時記』(2019年)」

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