DES薬害 : 被害と救済の検証
(著) 水谷民雄
Amazon作品詳細
[商品について]
―ヒポクラテスの誓いは、まもられているか―
合成女性ホルモン(エストロゲン)剤・DESの投与による薬害は、欧米ではサリドマイドと並ぶ深刻な薬害と認識されている。DESは母親や子どもにガンや奇形、生殖障害などを発症させるだけでなく、多世代にわたり健康被害をもたらすとも指摘されており、畜産分野での利用とあいまってその脅威は今なお続いていると言われる。しかし、1950年代から60年代末にかけてDES類縁エストロゲン配合剤が一般用医薬品として販売されていた日本では、この薬害への関心は決して高いとは言えない。本書では、こうした現状を背景に、DES薬害の実態から被害者救済の取り組みまで、欧米の先行研究をはじめとする膨大な資料に基づいてその全貌を詳解していく。日本におけるDES療法の状況など著者の独自研究も貴重な「日本語による」類書のないDES薬害全書。
[目次]
はじめに
第1章 DES薬害のあらまし
第2章 DESの開発とFDAによる承認
第3章 妊婦に対するDESの投与
第4章 妊婦に対するDES療法への 懸念と批判
第5章 DESによる経胎盤発がん ――被害患者の発見
第6章 DES薬害の実態解明と 被害者支援の取り組み
第7章 DES薬害研究の到達点
第8章 実験動物におけるDESの影響
第9章 DES薬害をめぐる訴訟
第10章 米国以外の国におけるDES薬害
第11章 DESの販売・規制・使用をめぐる日本の状況
第12章 家禽・家畜生産へのDESの利用
第13章 DES薬害をめぐる論評と手記から
DES薬害に関する年表
●著者紹介
[担当からのコメント]
本書のテーマはDES薬害ですが、私たちがこれまで直面してきた薬害問題全般を考えるうえでも非常に示唆に富む内容となっています。新薬の承認や規制のあり方をどうしていくべきか、因果関係の立証が難しい訴訟の枠外でいかに被害者に手を差し伸べていくか、そうした社会にとって重要な問いの萌芽が詰まった本書、ぜひご一読ください。
[著者紹介]
水谷民雄(みずたに・たみお)
略歴
1936年,京都府生まれ.
1964年,京都大学大学院薬学研究科博士課程修了.
京都大学薬学部助手,京都市衛生研究所主任研究員などを経て,1978年,京都府立大学生活科学部教授.
1997年,京都府立大学人間環境学部教授.
2000年,京都府立大学名誉教授.
専門分野
環境毒性学,食品衛生学.環境化学物質の毒性発現のしくみ.薬学博士.
著書
「社会薬学入門」(分担執筆,南江堂,1987年).
「新・学問のススメ3.自然を考える」(分担執筆,法律文化社,1987年).
「食品衛生学」(培風館,1998年).
「毒の科学Q&A」(ミネルヴァ書房,1999年)など.
新刊情報