郷土史発掘・新史料から見なおす岡山市東区山南地域の歴史

(著) 辻野喬雄

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――『京都同志社英学校設立始末』を著し、石井十次に影響を与えた人物は次のうち誰でしょう。
1.新島襄、2.新渡戸稲造、3.福沢諭吉
正解は本書「一、石井十次と太田杏三、平島恒五郎」をご覧ください。
岡山市東区山南地域の郷土の歴史を人物、小学校校歌歌、寺社など様々なテーマで掘り下げ、上・中・下巻構成で出版した作品を1冊にまとめて電子書籍化。著者が発見した新資料に基づいた「邑久郡八十八箇所霊場」の開基年の考察や、満蒙開拓青少年義勇軍に山南地域から応募した人物への聞き取りの記録、『朝日校百年』にも記されていない、朝日小学校校歌制定の経過などに関する研究、山南地域ゆかりの人物との交流の中で描いた「児童福祉の父」石井十次の肖像、片岡八郎常春の出生や平泉に残されている「片岡八郎弘経」の墓を巡る常春の最期に関する謎など、新事実目白押しの画期的な郷土史研究。

[目次]
岡山市東区 山南地域の郷土史発掘(上巻)
ご 挨 拶
一.岡山県(旧)邑久郡南巡り 八十八ヶ所霊場と岡﨑惣左衛門
概 要
(一)邑久郡南巡り八十八ヶ所霊場 第八十二番霊場内の新史料  ─屋根板裏面の墨書を中心に─
(二)岡﨑 惣左衛門 ─岡山県邑久郡八十八カ所霊場を開基した人─
(三)岡山県邑久郡(旧)南巡り八十八ケ所霊場の扇形木札
(四)岡﨑惣左衛門の神・仏信仰
二.岡山市東区西片岡 奥の谷集落に伝わる神仏
六道能化地蔵尊・荒神様・八十八ヶ所霊場・祗園宮
三.乙子「聚鱣社(しゅうせんしゃ)」常夜灯
一、はじめに
二、これまでの乙子「聚鱣社」常夜灯の認識
三、聚鱣社の調査結果
四、乙子「聚鱣社」常夜灯の構造・寸法等
五、吉井川下流両岸の常夜灯
六、乙子「聚鱣社」常夜灯の移築・修復
七、考察
付記(2)  吉井川下流両岸に残る常夜灯
四.満蒙開拓青少年義勇軍
はじめに
(一) 満蒙開拓青少年義勇軍  満州開拓青年義勇隊
(二) 満蒙開拓青少年義勇軍と八紘舎・日輪舎
(三) 山南地域からの応募者
五.『帝国化工六十年史』の 岡山工場被爆について
一、はじめに
二、聞き取り調査
三、日笠俊男著『米海軍機動部隊艦載機の岡山県南空襲 ─一九四五年七月二十四日の記憶と記録』
四、まとめ
六.岡山市立朝日小学校校歌の由来 先行して講堂落成祝賀の歌
一、はじめに
二、赤い屋根の講堂落成を祝って
三、「朝日かがやく 城山の」の校歌 いつ、どなたが、どんな動機で
四、おわりに
七.岡山市東区犬島 歌集『毒煙』と犬島踊り
一、はじめに
二、伝えたい二つのこと
岡山市東区 山南地域の郷土史発掘(中巻)
ご 挨 拶
一.石井十次と太田杏三、平島恒五郎
一、はじめに
二、石井十次
三、太田杏三
四、平島恒五郎
引用・参考文献(順不同)
二.画人・髙橋秋華と『ヒロシマ日記』
一、はじめに
二、髙橋秋華よりの見舞いの絵・手紙
三、『ヒロシマ日記』について
四、髙橋秋華の山南地域への足跡
参考文献
三.乙子の高瀬舟、廻舟問屋と二つの常夜灯
付記 乙子の海運業 渡海屋上岡市十郎
一、はじめに
二、記録に見られる乙子の高瀬舟
三、乙子での聞き取り調査
四、乙子藤屋良蔵と万蔵について
五、乙子大明神の常夜灯
引用・参考文献(順不同)
付記  乙子の海運業 渡海屋上岡市十郎
四.朝日八幡宮に現存する棟札・鳥居などの 墨書・刻字について
一、はじめに
二、鳥居とその立地の歴史
三、社殿とその歴史
四、櫃(ひつ)
五、釣殿北の手洗鉢
六、棟札の用語について
引用・参考文献(順不同)
上巻補稿
一.口入(くちいれ) 用木(ようぎ) 藤次郎の古文書
二.犬島踊りの系譜について
岡山市東区 山南地域の郷土史発掘(下巻)
ご 挨 拶
一.岡山市東区宝伝「寶神社」の命名、 木額裏面の山本憲と梅崖山本憲
一、はじめに
二、「昭和二年十月」とはいかなる日か
三、宝伝の神社の祭主祠官家について
四、牛窓 山本憲を手がかりに
五、牛窓 山本憲、梅崖そして木額の山本憲
六、山本憲が書した木額「寶神社」の 意味するもの
追 補 「東片岡村 寶神社」の記録見つかる
引用・参考文献(順不同)
二.片岡八郎常春
一、はじめに
二、源義経と片岡八郎常春
三、郷土史、私的古文書にみる常春
四、「大附城」一帯に残る歴史
五、確かな記録を求めて
六、「義経伝説の広がり」
七、まとめ
引用・参考文献(順不同)
『上巻』『中巻』の補足訂正
一、『上巻』図4 慈徳栄光の石座像について
著者略歴

[担当からのコメント]
小さな疑問や個人的な関心から研究がはじまり、やがて調査の中で非常に興味深い事実が見いだされるという点で、本書は子供のころに夢中になって読んだ博物誌のような知的興奮を味わえる作品になっています。学ぶことや研究することの楽しさを思い出させてくれる1冊です。

[著者略歴]
辻野 喬雄(つじの・たかお)

 一九三三年一月、岡山市中区東山電停近くで生まれ、京都大学工学部化学機械学科卒。一九五六年、岡山県西大寺市、帝国化工(現・テイカ)岡山工場に就職・転居。技術職・研究職を二三年務めて、一九七九年、日本共産党岡山市議会議員となり一九九九年に引退。
 この間一九六六年歴代村の八幡宮祠官家だった岡山市東区西片岡の妻の実家に転居。思いがけない契機から郷土史の掘り起こしに取り組んできた。地域の方々の大変なご協力によって、検証重視の「郷土史発掘」に至ったことを心から感謝している。

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