自己実現と心理療法 : 夢による〈私〉の探求
(著) 渡辺雄三
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―私の中の 私を超える 私ならざるもの―
自我のコントロールの手綱が緩む睡眠時、「私」の無意識としての夢が現れる。そしてその無意識は、「私」の中にあって「私ならざるもの」に他ならない。そして本質としての<私>という存在は、「私」と「私ならざる」ものとの対立の中で生まれ、見いだされるーー臨床心理の場で出会ったクライエントの夢、川上弘美『真鶴』や芥川龍之介『歯車』などの小説、諫山創の人気漫画『進撃の巨人』、そしてユングの「自己(セルフ)」概念などあらゆる素材を手がかりに、「私」/「私ならざるもの」と<私>関係を明らかにし、「<私>とは誰なのか」を探究した「心」の書。
[目次]
まえがき
第一章 私の中の/私を超える/私ならざるもの
「こころ・からだ」における「想定外の事態」
コウテイペンギンの驚くべき「智恵」
「私」と「私ならざるもの」、そして〈私〉
川上弘美『真鶴』を巡って
「私ならざるもの」に出会い、〈私〉を探す場所
第二章 夢の語りに耳を澄ます
「夢分析」について
心理療法としての「夢分析」
「夢見遊び」としての夢体験
「夢見遊び」の危険性や副作用
「B談話室」にて
小さく弱きものの声に耳を澄ます
第三章 「私」と「私ならざるもの」とが 出会う場としての夢
「私」と「私ならざるもの」との関係
夢を見ないこと
「抑圧」について
「神経症」という概念
諫山創『進撃の巨人』より
「巨人」の襲来と「パニック障害」
「影」という存在
夢に現われる「影」
芥川竜之介『歯車』を通して
実存的不安と「統合失調症的事態」
夢に現われた「統合失調症的事態」
もしもペンギンに「私」があったら
高橋たか子『過ぎ行く人たち』から
夢に現われた「探し求めるもの」
レエン・コオトの男とブノワという名の男性
夢のなかの「私ならざるもの」の声
さまざまな「私ならざるもの」
聖なる結婚
夢に現われた「聖なる結婚」
二人はなぜ死ななくてはならないのか
『エロスと神と収容所』を読む
「便宜的に神と呼ぶもの」との対話
「自己」ということと〈私〉
夢が導く〈私〉の存在
第四章 〈私〉とはいったい誰なのか
〈私〉という出来事が「私」の身に起こる
「私」と「私ならざるもの」との対立の苦しみのなかから〈私〉を探せ
「私ならざるもの」は現実の「他者」でもある
引用文献
あとがき
[担当からのコメント]
「私」とは何かという問いは、哲学の領域の問題としてだけでなく、形がなく目に見えない「心」の問題としても非常に重要なテーマとなっています。このテーマに対して、本書では臨床心理士がクライエントと対するように真摯に向き合います。自分の心を見つめ直したい方にとってもお薦めの一書です。
[著者略歴]
渡辺 雄三(わたなべ・ゆうぞう)
1941年生まれ、臨床心理士・社会学博士(関西大学)。
名古屋大学工学部中退、佐藤神経科病院、医療法人生々会松蔭病院、渡辺雄三分析心理室、人間環境大学教授を経て、現在、人間環境大学大学院:特任教授、渡辺雄三分析心理室:心理療法家。
著書、『心理療法と症例理解』(誠信書房)、『病院における心理療法』(金剛出版)、『夢分析による心理療法』(金剛出版)、『夢の物語と心理療法』(岩波書店)、『精神分裂病者に対する心理療法の臨床心理学的研究』(晃洋書房)、『夢が語るこころの深み』(岩波書店)、『私説・臨床心理学の方法』(金剛出版)ほか。
編著書、『仕事としての心理療法』(金剛出版)、『臨床心理学にとっての精神科臨床』(人文書院)、「開業臨床心理士の仕事場」(金剛出版)ほか。
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