いわき発「安寿と厨子王」真実の物語――名作「山椒大夫」のルーツを解き明かす

(著) 遠藤拓二

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作品詳細

[商品について]
――森鷗外の小説『山椒大夫』の中で、親子をだまして生き別れにした人買いの名前は次のどれでしょうか。
1.山椒大夫、2.山岡大夫、3.山荘大夫
正解は、本書「1.復習『森鷗外の山椒大夫』」をご覧ください。

大正4年に、明治の文豪・森鷗外が発表した『山椒大夫』。江戸時代から浄瑠璃や説経節に取り入れられ語り継がれてきたこの安寿と厨子王の物語は、実はいわき市金山町を中心とする地区で実際に起こったことを元にして書かれたものであることが、郷土史研究家の故・岡田実氏によって明らかにされている。本書は、この出来事を『磐城実伝記』『磐城実記』等の記録の中から「安寿と厨子王の物語」に関する部分に焦点を当てて脚本化するとともに、様々な史料からこの物語の時代背景を考察し、平成12年から令和元年まで訪ね歩いた全国の「安寿と厨子王の物語」ゆかりの地83箇所を紹介した作品である。

[目次]
1 はじめに
2 物語の研究に没頭する
3 ゆかりの地訪問を終えて
脚本
はじめに
登場人物
○住吉館・いわき市小名浜
○運命の地「姥(うば)が岳(だけ)」 逆臣(ぎゃくしん)村岡の家来・井口(いぐち)小弥(こや)太(た)、政道を暗殺
○安寿親子・住吉館脱出と大村次郎の防戦
○安寿と厨子王、人買いに買われる 新潟県寺泊海岸
○苦難の生活が始まる・三庄太夫の屋敷
○安寿、厨子王を逃がす
○安寿の死
○延命寺観智和尚(えんみょうじかんちおしょう)に助けられる厨子王
○閑院左大臣・藤原(ふじわらの)為房(ためふさ)卿にお世話になる厨子王
○玉(たま)綾(あや)姫(ひめ)、厨子王に恋焦(こ)がれる
○厨子王天子に面会し、厨子王・大炊(おおいの)介(すけ)道隆(みちたか)と命名される
○父・政道の敵討(かたきう)ち
○厨子王の凱旋(がいせん)帰国(きこく)
○三庄太夫一族への懲罰(ちょうばつ)
○母との涙の再会
「安寿と厨子王の物語」は実話なのか。作り話なのか。
1.復習「森鷗外の山椒大夫」
2.この物語を推察する
● 天沢寺(てんたくじ)にある政氏夫妻の位牌
3.三春町の天沢寺の位牌から推察すると……。
4.以上の条件を満たしている他の資料は何か
5.天沢寺の位牌と岩城実伝記・岩城実記を中心にまとめると
6.川上櫟(れき)斎(さい)の「岩城(いわき)便宜(べんぎ)」
7.安寿と厨子王の物語を推察する。(三春町の天沢寺の位牌、岩城実伝記、鏡丘由来記などを元に推察しました)
全国にある「安寿と厨子王の物語」ゆかりの地 83箇所紹介 最 新 版
全国にある「安寿と厨子王の物語」ゆかりの地の写真と解説 2020年10月1日現在
福島県
京都府
滋賀県
新潟県
青森県
秋田県
岩手県
九州
大阪
東京都
福井県
●詳細「奥州日の出の松」の由来
(1)広野町下浅見川の鈴木忠郎家に保存されていた古書 「奥州日の出の松」
(2)根本一良、松本貞代氏による「奥州日の出の松」
(3)広野町出身の元・福島県議会議員・根本一良氏の著書「奥州日の出の松之由来」
未確認のゆかりの地
あとがき
参考資料
安寿と厨子王の物語に関する主な古文書別概要
1.森鷗外の山椒大夫
2.小浜町愛宕神社に残された「鏡(かがみ)丘(がおか)由来記(ゆらいき)」での記述
3.「岩城実伝記」での記述
4.岩城古代記の中の「岩城実記」での記述
5.天下一説経与七郎正本「さんせう太夫」での記述
6.「山庄(さんしょう)略(りゃく)由来(ゆらい)」(京都由良にあった由良庄(ゆらのしょう)の米屋甚平が書いたもの。年代不)での記述
7.「丹哥府(たんかふ)志(し)」の三庄太夫での記述(宮津藩士が編纂したもの)
参考文献
著者略歴

[出版社からのコメント]
安寿と厨子王の物語は映画でご覧になったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。この哀しくも美しい物語について、本書ではその元となった出来事が脚本という形で描かれています。ぜひ一度手に取ってご覧いただければ嬉しく思います。

【著者略歴】
遠藤 拓二(えんどう・たくじ)

1938年旧満州吉林生まれ。1945年日本に引き揚げる。
昭和37年福島大学学芸学部卒。
昭和37年より平成10年まで、福島県内の中学校教員として勤務。
いわき市立植田東中学校在職中、植田東中学校校歌を作詞した。
平成11年、いわき市金山町の「金山の昔を伝える会」の初代会長として、いわき市金山地区に伝わる「安寿と厨子王の物語」の伝説について研究し、現存の「安寿姫厨子王母子像」の脇に、「ゆかりの地分布図」や「物語説明版」、各ゆかりの地に「説明板」等の設置に尽力した。
平成18年から19年にかけて冊子「いわき市金山町周辺の歴史」の編集に当る。
平成12年から令和元年にかけて、全国各地にある「安寿と厨子王の物語」のゆかりの地を訪ね、各地の情報を収集した。

著書に「安寿と厨子王 ゆかりの地を訪ねて」があり、平成15年初版発行、16年改訂版、平成20年改訂版Ⅱ発行、平成24年増補版発行。
いわき市内の小学校や、岩手県沼宮内、いわき市生涯学習プラザ、公民館等で「安寿と厨子王」について講話。
現在、「いわき市金山の昔を伝える会」会員

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