格差社会の経済学ー私たちを脅かす資本主義システムの病巣と持続可能な社会への道
(著) 福田泰雄
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[商品について]
―「持続可能な社会」はスローガンではない。死活問題だ―
新自由主義体制の下で急速にグローバル化した資本主義は、いま世界各国で深刻な所得格差を引き起こしている。社会的弱者は増々貧困になる一方で、一部の富裕層は巨額の資産を増やし続けている。こうした少数への富の集中はなぜ起こるのだろうか。それを生み出す資本主義システムにはどのような欠陥があるのか。この現代資本主義の病巣というべき格差社会の謎について、本書では独占資本への権力と富の集中という視点から現代資本主義の歪みを明らかにし、貧困と格差の解消に向けた未来社会への道筋を示していく。理論経済学の枠を超えて喫緊の課題と対峙する、「私たちの」経済学というべき一書。
[目次]
はしがき
第1章 格差拡大と独占資本
はじめに
第1節 新たな格差社会
第2節 上位1%の所得源泉
第3節 独占資本への所得集中
第2章 現代独占資本の権力
はじめに
第1節 分配と権力
第2節 資本主義の発展と権力
第3節 現代の独占資本
第4節 市場制度の再設計
第3章 独占レントと雇用破壊
はじめに
第1節 労働分配率の低下と雇用破壊
第2節 雇用破壊の合法化
第3節 新自由主義政策と労使関係
第4章 独占的市場構造とレント搾取
はじめに
第1節 サプライチェーンと中小企業
第2節 プラットフォーム独占と中小企業
第3節 独占資本と消費者
第4節 特許と独占レント
第5章 捕らわれの国家と独占レント
はじめに
第1節 独占資本による租税回避
第2節 財政歳出と独占レント
第3節 民活政策と独占レント
第6章 新自由主義政策と日本の貧困大国化
はじめに
第1節 拡大続ける貧困
第2節 ワーキングプアの増大
第3節 後退する社会保障
第4節 自己責任とされる教育,住宅
むすび
第7章 アグリビジネスと食料主権
はじめに
第1節 アグリビジネスとフードシステム
第2節 食料主権の喪失
第3節 農業の工業化とその非持続性
第4節 工業型農業と食の安全
むすび
おわりに
第1~7章 注
著者略歴
[担当からのコメント]
大地から栄養を吸い上げて大きく育つ樹木が資本主義だとするなら、いまの私たちはその枝葉に過ぎない存在なのではないか、本書を読みながらそんなことが頭をよぎります。同時に、木の枝を植えればそこから新たな芽が出るように、新しい社会への芽は私たち一人ひとりの中にあるのだろう、そんなことも思わされます。本書の中には、私たちが現状を理解し、選択すべき未来を考えるツールとなる経済学があります。ぜひご一読ください。
[著者略歴]
福田 泰雄(ふくだ やすお)
1951年 東京に生まれる
1976年 一橋大学卒業
1981年 一橋大学大学院博士課程単位取得
2003年 京都大学博士(経済学)取得
2016年 一橋大学名誉教授
2021年 一橋大学特任教授
著書
『現代市場経済とインフレーション』同文館出版,1992年
『土地の商品化と都市問題』同文館出版,1993年
『現代日本の分配構造――生活貧困化の経済理論』青木書店,2002年
『コーポレート・グローバリゼーションと地域主権』桜井書店,2010年
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