自ら、母語を「外頼語」で上書きする日本人:そして日本語は崩壊寸前
(著) 此々呂和人
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―「患者の選別」をトリアージと言い、「言い訳」するのにエクスキューズと言う必要はありますか―
アジェンダ、エビデンス、サステナビリティ、スキーム、ダイバーシティ、ナレッジ、マリアージュ、モーゲージ、リテラシー、レジリエンス――これらの言葉は外来語の顔をしているが本来の「外来語」とは全く異質な、外国語を片仮名で表記し日本人流の発音をして使用しているだけの「外頼語」である。ろくに本当の意味も解ろうとせず、意味の共通認識も、使用基準も規則もないままに、ただ互いに他人の真似をして使われるこうした言葉は、今や私たちの日常生活でもすっかりお馴染みになってしまっている。しかし日本には日本人の価値観が凝縮され、日本の思想・文化の源泉となる純粋な日本語が存在しており、こうした「外頼語」の氾濫は私たちの民族性にとって重大な危機をもたらす問題であると強く自覚しなければならない。本書は、アメリカ駐在を経て帰国し、長く英語教育に携わってきた著者が、現在の日本語の惨状を強く訴えると共に、今改めて母国語である日本語と日本人として守るべき文化について考えることを促す警世の書である。
[目次]
まえがき
一 外来語と「外頼語」
外来語
「外頼語」
「外頼語」にすり替わった外来語
二 純日本語と日本語
純日本語
日本語
母国語と母語
母語と民族性は表裏一体
「愛国心」と母語
三 「外頼語」がもてはやされる理由(わけ)
西洋かぶれと舶来品崇拝
憧れの英語
教養の披歴と優越感
英語を使っている気分
格好良さ、お洒落感
新物喰い
短い表現
簡単、手軽、便利
高い汎用性
四 「外頼語」大氾濫の悪夢
「外頼語」の萌芽
「外頼語」は正真正銘の外国語
「外頼語」は一種の差別用語
知る価値も無い「外頼語」
「外頼語」天国日本
「外頼語」と副反応
「外頼語」は純日本語を駆逐する
五 表現の自由と「外頼語」
表現の自由
多種、多様で多彩な「外頼語」
純日本語を併記しても「外頼語」
公共放送や新聞まで「外頼語」
英語そのものにも触手
何でも有りの日本語
六 「単純カタカナ語」と日本語の表音文字化
片仮名の存在
片仮名が増えている
カタカナの特質
「単純カタカナ語」
表音文字化する日本語
カタカナ表記の限界
日本文の和洋折衷文化
七 日本語の危機
純日本語を棄てる日本人
「外頼語」も時代の流れ
日本語化する気さえ失せた
クリスマス、バレンタインデーそしてハロウィーン
衰退する日本の行事催事
言語消滅の原因
八 国際化そして経済至上主義
国際化と「外頼語」
商業主義に踊らされる日本語
集合住宅名と車名は「外頼語」の宝庫
九 ご都合主義の「外頼語」
公的機関までが「外頼語」
同じ穴の狢は国の政府と国会にも
十 「外頼語」と日本人の母国語力
母語と民族は表裏一体
日本人の純日本語力
日本語は外国人から学ぶ
何のために英語を学ぶのか
「外頼語」を直視せよ
十一 母語教育の見直し
純日本語の重要性
真の母語教育
国語関連審議会の役割
十二 日本語の命運
日本政府の出番
純日本語を世界無形文化遺産に
あとがき
付録「外頼語」一覧
著者略歴
[出版社からのコメント]
現在私たちが当たり前の様に使用している言葉の中には、外国語に触れた先人達が苦心して適切な日本語に作り替えたものも少なからずあります。現在ではそうした思考錯誤をすることなく単純にカタカナで置き換えることも多いですが、代わりにより深く豊かな言語表現というものも失ってしまっている様に思います。本書を通じて、多くの方に改めて日本語について考える機会を持っていただければ嬉しく思います。
【著者略歴】
此々呂 和人(こころ・かずと)
本名・山根克史。広島県出身。神戸市外国語大学英米学科卒。米国駐在を経て、公立私立高校、大手学習塾、専門学校等で英語教育に携わる。現在は私塾を経営するかたわら外国人旅行者向けの情報誌を発行。趣味・詩吟。
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