インド・カーストの旅―—不可触民居住地区での聞き取りから見えてきた激変するインド社会

(著) 國井哲義

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――近年のインドで、カーストに関係なく社会的上昇のチャンスをもたらすものは次のどれでしょうか。

1.数学、2.英語、3.結婚

正解は、本書「第三章 インド・カースト制度の現在」をご覧ください。

インド・カースト制度はインドの貧困を生みだす大きな要因であり、日本に未だにのこる部落差別の源流ともいわれる。本書は、1997年に研修でカルカッタを訪れて以来、インド社会とカースト制度を研究し続けてきた著者が、その間に見聞したインドと自身の研究の成果をまとめた「インド・カースト見聞記」である。7回にわたるインド各地の不可触民居住地区への調査、カースト制度撤廃に生涯をささげたアンベードカルの生涯、植民地支配の傷が民族対立を生むフィジーの現状など、「差別」の根源を体感し見つめ続けた示唆に富む一書。



[目次]

まえがき

第一章 インドの被差別地区を訪ねて

はじめに

一、チャウラー氏からの聞き取り

二、マラリクラム訪問

三、デービス・真美さんの話

四、ジャイナ教徒の女性との出会い

五、ゴアの被差別地区訪問

六、「差別はない」について

七、アンベードカルの個人崇拝

八、「不可触民」同士の反目

九、インド女性の地位

一〇、ゴアの先住民族

一一、バグワン・ダス氏からの聞き取り

第二章 インドの経済発展とカースト制度

はじめに

一、被差別(不可触民居住)地区訪問記

二、経済発展とカースト制度

第三章 インド・カースト制度の現在

はじめに

一、東日本大震災の中での旅

二、ゴア周辺(三月二二日)

三、ブージ周辺(三月二五日~二六日)

四、アウランガバード、アジャンタ周辺(三月二七日~二八日)

五、ジェトロ(日本貿易振興機構)の大穀氏の講演とインド経済の現状

六、経済発展とカースト制度の揺らぎ

まとめ

第四章 カースト制度と仏教再興運動

はじめに

一、今回の旅でとくに印象深かったこと

二、インドラ・ブッダ・ヴィハーラ(Indora Buddha Vihar)訪問(三月二十二日)

三、インドラ・ブッダ・ヴィハーラでの聞き取り

四、改宗広場(ディクシャブーミ)訪問

五、佐々井秀嶺氏との出会い(三月二十三日)

六、アンベードカルの荼毘所とアンクール・ブッダ・ヴィハーラ(Ankur Buddha Vihar)の訪問(三月二十四日)

七、アンベードカル・ナガル訪問(三月二十六日)

八、レガール・カーストの人たちとの交流(三月二十六日 午後)

九、ギルダールブラ訪問(三月二十八日 午後)

あとがき

第五章 アンベードカルと不可触民解放の思想

はじめに

一、アンベードカルの生涯

二、アンベードカルと仏教

三、マルクス主義か仏教か

四、カースト制度廃絶への道

第六章 フィジーの土地問題と民族対立

はじめに

一、現地で見たこと、感じたこと

二、民族対立

初出一覧

著者略歴



[担当からのコメント]

身分制度が廃止されて形式的には差別はなくなった筈の日本ですが、周りを見渡せば差別の温床となりうるものはそこかしこに見られることが分かります。本書は、日本の部落問題や差別の構造にも視線を向けた内容になっております。差別とは何かを改めて考えるきっかけとして、ぜひ多くの方に手に取っていただければ嬉しく思います。



[著者略歴]

國井 哲義(くにい・てつよし)



1947年 栃木県生まれ

1977年 京都大学大学院博士課程宗教学専攻修了

現在 千里金蘭大学名誉教授



主な著書

『苦悩と愛 キェルケゴール論』(2002年、創言社)

『キェルケゴールを学ぶ人のために』(1996年、共著、世界思想杜)

『宗教の根源性と現代 第2巻』(2001年、共著、晃洋書房)



主な訳書

『キェルケゴールと悪』(1982年、東方出版、共訳)

『自省のために現代にすすむ』(1988年、キェルケゴール著作全集14巻所収、創言杜)

『人生行路の諸段階(1)』(1996年、キェルケゴール著作全集4巻、創言社)

『瞬間(第4号~第7号)』(2000年、キェルケゴール著作全集15巻所収、創言社)

『キリスト教への修練』(2011年、共訳、キェルケゴール著作全集13巻、創言社)

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