[アートエッセイ]絵描き、という人のかたち:絵の具だらけの僕の手は、今日も絵筆を離せない
(著) 田中信男
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―今日は昨日より新しくありたいと、絵を描く日々―
45歳の時に赴任したアメリカでの、5年半に及ぶ奮戦の日々。帰国後にそれを愛犬の視点から絵本として描き、銀座の画廊で原画展を開いたことで、学生の頃からあった「いつか本気で絵を描きたい」という意識に火がついた著者は、再びキャンパスに向かい絵を描き始める。常識の世界の外側に一歩踏み出し、対象を題材に対象そのものを見つめて、自分の世界を表現する。何を使っても何を描いてもよい自由の中で生まれる「表現」を求めて、今日も飽きずに描き続ける――。
平々凡々なサラリーマン生活から一歩も二歩も外に踏み出し絵を本格的に描き始めて20年、絵を好きになった小学生時代の思い出から近年始めた銅版画のことまで、これまでの足跡を作品と共に振り返り、また絵を再開するきっかけにもなったアメリカ生活についてもエピソードを中心に余すことなく紹介する。
[目次]
まえがき
第一部 素人絵描きの大奮戦
プロローグ
絵を描くことが好きになった
優等生の絵にはパンチがない
小学校六年の時の担任の先生は生涯の恩人
幼少の頃の体験は人生の宝物
中学一年生の時に、初めて油絵を描いた
ガラス絵と銅版画に出合う
中学生の頃は、家にテレビはなかった
中学二年生の時に、市街の学校に転校
「マチエールとは」に出合う
大学一年生、下宿生活は納豆から始まった
なにはともあれ、美術部に入る
下宿屋を出る羽目に
自炊生活を始める
美術部のキャプテン
初めての百号キャンバスは自家製
河北展に入選
生意気な展覧会
絵本「美人ストーリイ」出版
人物画教室に通い始める
女性ヌードは、絵描きにとって神様だ
「褒められたい」は、絵描きに共通の病
公募展に出品
リスボンの裏町で立ちすくむ
ただの板塀ではない
天空の村
固有のマチエール
イギリスでしばらく遊ぶ
女房はアーティスト
中世の面影が残る、小さな村
地中海に寄り添う、白い村
モロッコの入り口に立つ
運河に沿って歩く
ゴッホとロートレック
落書きの競演
ニューヨークの落書き文化
緑青の吹く街
エゴンシーレ
エーゲ海のブルー
ハニヤの夕日
独自の水彩画
旅の終わりに
変な解放感
東北大美術部OB展「鳴展」
エピローグ「ひとのかたち」
第二部 中年夫婦の大奮戦inアメリカ
プロローグ
アメリカ生活は、うらぶれたモテルから始まった
車の運転免許を取らなければ、なにごとも始まらない
広大なアトランタ空港で、途方に暮れる
おその、一日でも早く来てくれ
おそのの涙の物語
運転ビギナーのくせに、早くもスピード違反で捕まった
豪邸を買う
庭の芝刈りと格闘
愛犬「美人」
全長七十メートルの柵工事
「美人」はリスと遊ぶのに大忙し
おそのは「美人」と一心同体
D・A一家のこと
おその、車の運転免許を取るのに半年かかった
ボーリングに興じる
押し売りもかわいいものだ
竜巻が襲ってきた
ほっぺたを叩きながら、幹線道路を長時間走ることが仕事
蟻に刺されて、気を失う
エピローグ
あとがき
著者プロフィール
[出版社からのコメント]
時代と共に手段や方法は移り変わっても私たちの中にあり続ける表現への欲求は、本能にも近い根源的なものなのかも知れません。その本能に向き合う楽しくも奥深い日々の魅力を、ぜひ本書を通じて楽しんでいただければ嬉しく思います。
【著者プロフィール】
田中信男(たなか・のぶお)
1941年、大阪府生まれ、東北大学工学部卒業後、建設会社に勤務。
約6年間アメリカに赴任し、主にジョージア州アトランタに住む。
1996年、妻と愛犬と暮らしたアメリカ生活を描いた絵本を自費出版し、銀座の画廊でその原画展を開く。これを契機に本格的に絵を描き始め、1998年よりほぼ毎年、個展を開いて作品を発表。2018年の銀座・藍画廊での個展が21回目となる。
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