超重症心身障害児の息子へ――父からのモノローグ 何があっても生きて欲しいことを伝えたい!
(著) 久留島勝則
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―お前が見続けた天井の向こう側に、命が尽きるまで答えを探し続ける―
生後3ヶ月である日突如として「超重症心身障害」となった息子は、それ以来寝たきりとなり「生きること」そのものが最優先事項となった。父親としての務めを果たそうとする自分と、理不尽な運命を憎み息子にあらぬ感情を差し向けるもう一人の自分、その葛藤に苦しむ「俺」の心に希望を与えたのは、息子を預けた施設での出会いと彼らの「強烈な言葉」、そして全身で生きる息子の姿だった——人生という舞台の中で、過酷な運命を背負った息子への思いを独白した生と死と魂の物語。
[目次]
第一幕
もう下ろすのよ、その幕を
──しかし、まだ幕は下りてこない。 「なぜ?」その問いに真正面からぶつからなければ!──
第二幕
幕は一瞬にして上がった
──それは「覚悟してください」から始まった。 そして強烈な言葉だった──
これは夢なのだ!
──そう叫ぶ己自身と、もうひとりの自分──
とんでもない台風が、突然襲いかかってきて、 やがて去っていった
──しかし、そのとんでもない台風は、 とんでもないお土産を置いていったのだ!──
第三幕
舞台という意識の中に放り込まれて
──「どこまで、回復するでしょうか?」 そんな当たり前の質問の答えが返ってこない!──
隙間(すきま)風の中で
──俺の心の隙間をついて、いろいろな風が通り過ぎていった──
普通ではないんだ!
──何とか弾(はじ)かれまいと必死だった。何があろうと 「普通」にこだわり続けていなければ生きてはいけない──
そのころだった。俺が舞台という意識を持ち始めたのは
──わっ! 舞台に立ってしまった──
第四幕
ミルクとの戦い
──好きでやっているんではない。やらされているんだ!──
お前という存在は支えきれそうにもない「もの」なのか?
「お前に対する、俺の思い」の正体
──それは誰の目にも見えない俺の心の中での出来事──
限界
──それでも親なの!──
赤茶けたミルク
──それはお前の無言のメッセージ──
第五幕
死ぬのはどっち? お前か? 俺か?
──探し物は何? お前はすぐ横にいるのに!──
第六幕
夢ふたつ
──俺は今でも印象深く、この夢を思い出す。そのひとつ。 「君は神を信じますか?」──
もうひとつの夢
──それは心の中に渦巻く、誰にも言えない俺の懺悔(ざんげ)──
第七幕
普通とはあまりにもかけ離れたもの
──それを超重症心身障害児と呼ぶのであればそう呼べばいい──
第八幕
卒業してきた人たち
──この人たちは、何としたたかな人たちなのだろうか!──
第九幕
頑張ったもんね!
──プロがプロらしい表現で俺に伝えたもの──
第十幕
どうしますか?
──それは、白衣をまとった男の、ほんの短い言葉だった──
三角州
──ここは奇妙な出会いが繰り返される場所──
やはり、諦めてはいけない! と思わなければならない
第十一幕
今を生きる俺の原点
──「逃げる」のではなく「一緒にいられる」ような 柔らかく温かい思い──
第十二幕
大きな出会い
──ところで、訪問教育って何ですか? どうしても受けなければならないんですか?──
入学式
──ピカピカの一年生だって?──
同じ歩調
──彼と同じ速さを身につけることです──
笑顔
──笑顔から導かれたもの、それは「アー、ウー」だった──
第十三幕
このときに、感謝。ただただ感謝
親より先に逝(い)かせてやりたい!
──親たちの永遠のテーマ。 それは「親亡き後」の豊かな生活を「認めてもらう」という 大変な作業。それが、障害をもつ子の親の務めなのだ──
幕よ! 下がるな!
──持った者でなければわからんよ!──
第十四幕
天井の向こうに何かある?
──その答えらしきものは?──
第十五幕
生きる匂い
著者プロフィ─ル
[担当からのコメント]
人は何のために生まれてきたのか。その問いは、置かれた環境が過酷であればあるほど切実な心の叫びとなっていくのかも知れません。本書の中にある血を流すような苦悩と葛藤の叫びをどう捉えるかは、人それぞれです。ただ、浅薄な理想や倫理観では決して聞くことのできない「生」に対する声は、いつまでも心の中で響き合って絶えることがない、本書はそんな予感を覚えさせる力を持っています。
[著者プロフィ─ル]
久留島 勝則(くるしま・かつのり)
1954年静岡県浜松市生まれ。
過去を「生きてきた」こと。今を「生きる」こと。そして、未来を「生きよう」とすること。
当たり前に「息」を吸い込み、当たり前に「息」を吐き出し、当たり前のことを当たり前に過ごす。
そんな人生に「乾杯」です。
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