人格発達とQOL(クオリティ・オブ・ライフ)昔話・夢解釈
(著) 荒木正見
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[商品について]
本書は、私たちが個性に応じて豊かな人生を送るために、多様なテーマを持つ口承文学や夢を手がかりとして、人格発達と癒しという視点で心理・社会的な人格発達の普遍的な姿を検討し、みずからの個性的な発達に生かす試みである。
個性に応じた個々の人格発達のためには豊富な知識が必要であり、本書は人の心に訴えかけることを本質とする「文学」を題材とし、思考方法を詳細に示すことで、本書の通読それ自体が個々の人格発達を促す内容となっている。
「目次]
序
第一章 解釈の目安 ──人格発達の概念と解釈学の方法──
一 人格発達考察に関する諸概念
(1)「意識」と「無意識」
(2) 「退行」/「再統合」/「エネルギー」
(3) エリクソンの人格発達モデル
(4)英雄譚における人格発達図式
二 ストーリー解釈と構造
(1)共時的解釈
(2)「現象学的還元」と「構造」
(3)場所
第二章 昔話における「人格発達」と「癒し」
一 昔話と「人格発達」や「癒し」
二 昔話解釈の方法
三 『聴耳(ききみみ)』における「人格発達」と「癒し」
四 『瘤(こぶ)取り』における「癒し」
五 『手斧(ておの)息子』における「人格発達」と「癒し」
六 『躄(いざり)長者』における「人格発達」と「癒し」
七 『田螺(たにし)息子』における「人格発達」と「癒し」
八 「場所」の意味と人格発達
第三章 夢解釈における「人格発達」と「癒し」
一 夢解釈の方法
(1) 「夢を見ること」に付随する側面
(2) 夢の構造的解釈の側面
(3) 夢解釈の実践的側面
二 夏日漱石『夢十夜』「第三夜」の夢解釈
(1) 場所の構造と夢の構造
(2)『夢十夜』「第三夜」における場所の構造的解釈
(3) 『夢十夜』「第三夜」における夢のテーマ
(4) 『夢十夜』「第三夜」と夏目漱石
(5) 『夢十夜』「第三夜」と夏目漱石の癒し
三 夏目漱石『夢十夜』「第四夜」の夢解釈
(1) 現象学的還元と夢における場所
(2) 『夢十夜』「第四夜」における場所の移動と「意識」-「無意識」構造
(3) 場所と象徴的意味
(4) 漱石の生育史と時代
(5) 『夢十夜』「第四夜」と夏目漱石の癒し
参考文献
おわりに
初出一覧
[出版社からのコメント]
「個性」や「自分らしさ」という言葉が尊重されるようになっても、その言葉が具体的な内容をもって私たちの力となるのでなければ意味がありません。個性はその人が持つ固有の性質ではありますが、人がが歴史が積み重なった社会の中で生きる存在である以上、自身の中にのみ目を向けているだけではその本質をとらえることは難しいかもしれません。
本書は、これからの時代に私たちが必要とする生き方について、考え続けるための最初の一書としてふさわしい内容を含んでいます。「私らしさ」という青い鳥を求める人が実りある人生をおくるために、本書を活用していただければ嬉しく思います。
[著者プロフィール]
荒木 正見(あらき・まさみ)
一九四六年 福岡県に生まれる。
一九七一年 名古屋大学文学部哲学科卒業
一九七七年 九州大学大学院文学研究科哲学・哲学史専攻科博士課程単位取得退学
梅光女学院大学助教授・福岡女学院大学教授・日本赤十字九州国際看護大学教授・福岡歯科大学教授・文京学院大学教授を歴任
二〇一九年現在は各大学・短大・専門学校等で非常勤講師(哲学・倫理学・心理学・論理学・人間関係論・家族社会学・生命医療倫理学)。
著 書
『場所論と人間行動――演劇・ドラマ・教育相談――』〔共著〕(中川書店、2000年)、『共時的解釈の方法』(中川書店、1994年)、『尾道という場所論――志賀直哉・小林和作・大林宜彦の風景――』(中川書店、1993年)、『昔話と人格発達――コード分析試論――』(九州大学出版会、1985年)、『人間、何処からどこへ』〔共編著〕(ナカニシヤ出版、1998年)他。
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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